石原知事と都政の様々な課題について議論する「石原知事と議論する会」が9月17日、開催された。今回のテーマは「先端技術と低炭素型都市づくり〜世界をリードする環境都市の実現に向けて」。環境確保条例の改正や「十年後の東京実行プログラム」などを通じて環境施策に積極的に取り組む石原知事だが、集まった都民に向かって温暖化などの環境問題が地球の危機であることを何度も強調、子孫に地球を残す義務があることを訴えた。
この日の出席者は、石原知事、山本良一氏(東京大学生産技術研究所教授)、井上裕之氏(東京商工会議所副会頭)、見城美枝子氏(青森大学教授)、杉本完臓氏(太陽光発電協会幹事)。
冒頭、石原知事は地球温暖化問題について「この問題は哲学の問題だ。人間は動物と違って意識があり、人間のような高度な意識を持った生物が生存しなければ、この地球の存在をとらえることができない」と力説した。
そして「作家の開高健は『明日、世界が滅びるとしても、今日、あなたはリンゴの木を植える』という言葉を色紙に残しているが、彼が残した言葉を私は咀嚼しながらささやかな努力をしている」と、あいさつした。
地球温暖化の現状について山本氏は「現在、地球の状態は重症患者だ」と診断、「過去50年間、地球の温暖化は進んできているが、北極海では氷の融解が生じており、2013年夏には氷が消滅すると言われている。その影響は世界中に異常気象をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。
井上氏は「ゴミ焼却発電の高能率化についての取り組みはまだまだだ。高能率化に成功すれば日本全国のゴミ焼却炉千数箇所は、原子力発電所5基から6基に相当する効果が期待できるのではないか。また外環道の早期整備に着工すればCO2削減にも効果的だ」と主張した。
見城氏はペットボトルを減らし、水道水を普及させる取組みや都市農業の活性化など、生活の視点から見た取組みの重要性を強調。杉本氏は太陽光発電の普及によって各家庭でも自然環境への意識が高まることなどを紹介した。