東京都はこのほど、来年度の予算編成に際し、その見積方針を発表した。平成十九年度の実質収支が九百四十六億円と、昨年度比で四百二十億円減少したほか、今年四月から六月の法人二税の収入も前年度同期と比べ六百五十三億円減少している。歳入面で本格的な減収局面を迎えることが確実視される中、都民生活への影響を最小限に抑えるため、東京都はどのような考えで来年度の予算を編成しようとしているのかを見てみた。
これまで都税収入の好調な伸びに支えられてきた東京都の一般会計予算だが、原油価格の高騰や円高などで企業収益が落ち込んでいることや、昨年末に国と合意した法人事業税の一部国税化が二十一年度から実施されるため、平成二十一年度の都財政は六年ぶりの大幅な収入減になることが避けられない。
このため、「将来の東京の継続的発展に不可欠な取り組みを進めるとともに、都民生活を脅かす課題に適時適切に対応する予算」として来年度予算を編成することを打ち出した。都市基盤整備、環境施策、医療・福祉施策、治安などで膨大な行政需要を抱える東京都は、各分野の事業執行の優先度が厳しく検証されることになりそうだ。
基本方針は (1)東京都の構想である「十年後の東京」の実現に向けた取り組みの推進と都政が直面する諸課題への的確な対応をはかること (2)都が実施する各事業の有効性を検証した上でより実効性の高い施策の構築を図る―の二点。
都が行う全ての施策について、制度や事業の根本に立ち返った見直し・再構築を行うことが基本となる。監理団体への財政支出や区市町村などへの各種補助金も必要な見直しを行った上で所要額の見積を行うよう支持している。一方、歳入確保は、都税の徴収努力の継続など強力に実施する考えだ。
○十八年度予算原案…法人二税の好調な伸びを受け、都税収入が四兆五千二十八億円に達した。このため一般会計は六兆千七百二十億円と五年ぶりに六兆円台を回復。「財政構造改革の足取りを確かなものとし東京のさらなる発展を目指す予算」と位置づけられた。
○十九年度予算原案…前年同様、都税収入の好調な伸びが続いたことで、一般会計は六兆六千二十億円と十八年度予算よりも規模が膨らんだ。財政再建の隠された課題となっていた「隠れ借金」などの解消も果たしている。
○二十年度予算原案…引き続き好調な都税収入の伸びに支えられ一般会計規模は六兆八千五百六十億円に達している。「いかなる状況変化の下でもその取り組みを支えることができる持続可能な財政基盤を築き上げる予算」と位置付けた。