2008年7月20日号
精神的ケア体制の構築が課題
自殺予防で実態調査
自殺者の増加が大きな社会問題となっているが、東京都はさきごろ、救急医療機関に対して自殺未遂者の実態を把握する調査を実施、その結果を公表した。
東京都によれば、都内の自殺者は平成十年を境にそれまでの年間約二千人から約二千七百人に急激に増加しているが、これは交通事故死者数の十倍に匹敵しているという。
調査は昨年十二月の一カ月間、都内の救急医療機関三百三十八施設を対象に実施されている。
この一カ月間の自殺未遂者は三百七十三名で、薬物による自殺未遂が五八・七%と最も多い。未遂者の中で精神疾患を合併している者は二百十四人と半数を超えていた。
このような背景から、各救急医療機関からの意見では、自殺を考えたことのある者への精神的なケア体制の不備を指摘する声が多く寄せられた。救急医療機関と精神科医療機関のネットワーク構築や精神科医療機関のリスト整備を望む声があげられている。