環境確保条例の改正案が三月の都議会で可決された。全国初となる大規模事業所のCO2排出量削減の義務化などが盛り込まれたこの条例案、このほかにもオフィスビルや商業施設も規制対象に加えるなど先進的な内容となっている。
しかし意外と見落とされがちなのが一般家庭でのCO2削減対策の強化が明記されていることだろう。改正された条例は平成二十一年四月一日から施行される(CO2排出量の削減義務化は平成二十二年度から)が、CO2削減に向けて一般家庭に求められている内容を見てみたい。
都内の家庭から排出されるCO2の量は、都によると年間千五百万トン。都民一人あたりの排出量は重さにすると約一・二トンで、体積で六十万リットルを超える。これは全長一〇・五メートルの風船に匹敵するという。
家庭からのCO2排出量の大部分が電気消費によることから、東京都では特定の家電製品を対象に、省エネラベルの表示を販売事業者に義務化してきた。
こうした都の取り組みを受け、国も平成十八年から全国統一のラベル制度を開始した。しかし、更なる取り組みの強化が必要と判断した東京都は環境確保条例を改正、より省エネ性能の優れた機器の選択を都民に促す仕組みを構築した。
具体的には、電気機器を購入する場合、地球温暖化の防止などに関する性能が優れている機器を設置する努力義務が課される。一方、販売事業者にも地球温暖化の防止などに関する性能が優れている機器の情報を購入者に提供する努力義務が課されることになる。
また東京都は、家庭で取り組める温暖化対策として、従来から「白熱球一層作戦」を展開している。家庭で使用されている白熱球を電球型蛍光灯に替える試みだが、これでエネルギー消費が一個あたり八〇%削減される。
すでに販売事業者では大手スーパーなどを中心に電球型蛍光灯の価格割引などの取り組みが始められている。
夏本番を控え、エアコンの温度設定を二十八度にするなど、家庭で取り組めることは多い。もう一度身近な温暖化対策を考えてみてはいかがだろうか。