2016年オリンピックの開催に名乗りを上げている七都市から、正式に立候補都市を選定するIOC理事会が五日未明(日本時間)開かれ、東京が総合評価一位で承認された。これにより、来年十月のコペンハーゲンでの開催都市決定に向け、招致活動はいよいよ本格化することになる。石原知事は「やっと登山口に立った」と述べ、招致機運の盛り上げを訴えた。
立候補都市に選定されたのは東京のほかに、マドリード(スペイン)、シカゴ(アメリカ)、リオデジャネイロ(ブラジル)の計四都市。ほかにドーハ(カタール)、プラハ(チェコ)、バクー(アゼルバイジャン)も立候補を申請していたが落選した。
今回の審査はIOCの求めた二十五項目の質問に対する回答を各都市が「申請ファイル」として提出、その内容を点数で評価する形で行われた。
東京が特に高く評価されたのは、既存の客室数がIOCの要求基準である四万室を大きく上回ったことや、選手村からほとんどの競技場への移動距離が平均九kmと近かった点。さらに治安の高さなど安全面、排出ガスの規制など環境面、地下鉄や道路網などインフラ面の充実も他都市を上回った。
各項目で高い評価を得る一方で課題となったのは世論調査の結果。これは国民がオリンピックの開催をどれだけ望んでいるかという、いわゆる招致機運の盛り上がりを意味するものだが、マドリード九〇%、シカゴ七四%、リオデジャネイロ七七%などに比べ、東京は五九%と一歩出遅れた形となった。
ただ、第一位で立候補都市に決まったことは大きく報道され、これまで招致実現に懐疑的だった都民・国民の関心は一気に高まっており、今後の招致に弾みがついたことは確か。
立候補都市に選定されたことにより、これまでできなかったIOC理事や国際競技団体に対する直接の働きかけが解禁され、最初の大きなキャンペーン舞台となる北京オリンピックでどれだけアピールできるかが試金石となる。