渋谷、新宿、池袋の三副都心を地下鉄で結ぶ東京メトロ副都心線が十四日開業した。埼玉県の和光市と渋谷を結ぶ延長二〇・二キロメートルの新しい地下鉄が運行を開始したことになるが、平成二十四年度には東急東横線と相互直通運転が行われる予定だ。これにより埼玉県南西部から東京の三都心を経由して横浜に至る広域ネットワークが整備され、人や物の流れがさらに加速されると期待されている。十四日の開業を翌日に控えた十三日には、副都心線の開業記念式典が開催され、東京都の石原慎太郎知事ら多くの関係者が開業を喜んだ。
副都心線の開業により、交通アクセスが多様化し、利便性が向上することが期待されている。
今回、新設された駅は「雑司が谷」「西早稲田」「東新宿」「新宿三丁目」「北参道」「明治神宮前」「渋谷」の七駅。池袋〜渋谷間(八・九キロメートル)は十六分で結ばれるが、朝夕のラッシュ時には約三分四十秒間隔で運転される。
池袋や渋谷はターミナル駅として、JRをはじめとした鉄道各社と連絡しているが、東新宿では都営大江戸線、新宿三丁目で丸の内線と都営新宿線、明治神宮前で千代田線と連絡する。
また、和光市駅で東武東上線と、小竹向原駅で西武有楽町線・池袋線と相互直通運転を行っており、埼玉方面から都心への人と物の流れがさらに加速されるものと期待されている。
新設された各駅は、それぞれの地域特性を踏まえたテーマカラーを持っているのが特徴。
例えば新宿三丁目は、駅周辺が屈指の繁華街であること、かつて江戸四宿のひとつだった内藤新宿があったことから、「光の帯」をモチーフに「藤色」を組み合わせた、都会をイメージしている。
またバリアフリーにも配慮しており、駅舎内にエレベータやエスカレータ、スロープを多数設置している。高齢者や身体の不自由な人にも優しい設計となっている。
石原知事があいさつ
十四日の開業の前日、十三日に行われた副都心線開業記念式典には、石原慎太郎知事ら関係者多数が出席、新線の開通を祝福した。
石原知事は来賓のあいさつでまず、「副都心線の開通は、東京にとって画期的なことだ。渋谷、新宿、池袋を結ぶアクセスが出来上がったことで首都における人の流れが変わってくる」と、副都心線の意義を評価した。
さらにオリンピック招致とからめて「東京は一次審査を通過したが、オリンピック招致の夢を実現したい。副都心線の開通は、外国からのお客さんにも非常に高い利便性を提供することになると思う」とあいさつした。