2008年5月20日号
都内の「ひきこもり」約2万5千人
ひきこもり予備軍の存在も明らかに
近年、若者の間で増加し、社会問題ともなっている「ひきこもり」。しかし、その実態は精神疾患が原因でひきこもっている者や、「ニート」や「不登校」との区別が明確でないなど、必ずしも十分な把握ができていなかったのが現状だ。今回、東京都は、若者がどのような意識傾向をもって生活しているのか―に重点を置いて調査を行い、都内の「社会的ひきこもり」の実態を明らかにした。
調査は15〜34歳を対象に行われ、0・72%がひきこもりと判断されたことから、都内全体で最低でも約2万5千人がひきこもり状態にあると推計した。性別では男性が69%と多く、男性が自立をより強く求められていることが背景にあると分析している。
ひきこもりになった時期では、25〜27歳が最も多い。ひきこもり状態が継続している期間は、3〜5年が最も多く、1年以上継続している事例が全体の4分の3を占めている。ひきこもりとなった原因は「職場不適応」が28%、「就職活動不調」が13%と就職・就労関係が約4割を占めた。
さらに、今回の調査結果で注目されたのは、自身はそうではないが、「外に出ない人たちの気持ちが分かる」「自分も閉じこもりたいと思うことがある」と、ひきこもりに理解を示す者が約5%存在したということ。こうした「ひきこもり親和群」は将来、ひきこもりとなる「ひきこもり予備群」とも言えることから、今後さらに詳しい分析が必要とされている。
東京都では今年度も引き続き調査研究を続けるとともに、「ひきこもりセーフティネットモデル事業」やNPO法人との協働で支援プログラムを実施するなど、取組みを推進していく考えだ。