2008年3月20日号
東京都環境審議会が報告
経済ルールの中に環境配慮を内在化

 東京の今後のあり方を環境面から検討してきた東京都環境審議会(会長・小早川光郎東大教授)はさきごろ、東京の将来像を「少ないエネルギーで安全、快適に活動・生活できる都市」とする最終報告をまとめた。人類や生物の生存基盤の確保、より快適で質の高い都市環境の創出などを施策のベースにすることで、社会や経済を動かしている基本的なルールの中に環境への配慮を内在化することをねらいにしている。都はこの報告を受け、新たな環境基本計画を策定する。


 現在の環境基本計画は六年前に策定されたもの。その間、東京都はディーゼル車排ガス規制を実施、大気汚染の大幅改善を果たした。また地球温暖化対策やヒートアイランド対策においても一定の成果をあげている。

 しかしその一方、二酸化窒素などの大気汚染、土壌汚染などの負の遺産が依然残されていること、緑の減少に歯止めがかかっていないといった課題がある。

 このため環境審議会の最終報告では、現在、東京が直面している環境問題について、(1)気候変動の危機の偏在化(2)環境汚染に対する予見的かつ継続的な対応の必要性(3)より質の高い環境都市の形勢による都市の魅力の向上―の三つの新たな認識を示した。

 報告で示された東京の将来像、「少ないエネルギーで安全、快適に活動・生活できる都市」は、地球環境への負荷を極小化し、環境汚染が完全に解消された都市を構築するというもの。持続可能な都市モデルを創出し世界に発信することで、世界から人々が集まりにぎわう都市を目指す。

 そのための施策のあり方として、気候変動の危機回避や省資源化と資源の循環利用を促進する「人類・生物の生存基盤の確保」、大気汚染物質の更なる排出削減、騒音や悪臭といった生活環境問題の解決を目指す「健康で安全な生活環境の確保」、森林や丘陵地などにおける自然の保全や市街地での豊かな緑の創出を目指す「より快適で質の高い都市環境の創出」―の三つを柱としている。

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