2008年2月20日号

2016年五輪招致への道

(2)ところで…オリンピックってどういう祭典ですか?

 「東京オリンピックってつい最近ありましたよね? あ、違う。世界陸上? なんかしょっちゅうある感じしますね」と美容師が髪を切りながら話しかけてきた。しかも、64年東京五輪など見ていないはずの20歳代女子! これは由々しき事態。

 確かに、オリンピックと他の国際大会とはなにが違うのだろうか。

 「誤解されがちですが、オリンピックはその大会期間だけのものではなく、オリンピック・ムーブメントという理念がまずあって、その頂点のイベントとして行われるものなんです」と、東京オリンピック招致委員会の鈴木研二さん。

 オリンピック・ムーブメントとは、IOCの「オリンピック憲章」が定めるところをかいつまむと、肉体・意思・知性を磨き、均整のとれた人間の総体を目指す人生哲学(オリンピズム)の諸価値に依って生きようとする、すべての個人や団体によって推進される普遍的かつ恒久的な活動……となる。

 もちろん、スポーツだけで実践する必要はない。事実、1912〜1948年の間に行われた10回の大会では、建築・彫刻・絵画・文学・音楽という芸術競技も行われており、現在も文化プログラムというかたちで引き継がれている。

 オリンピックは、単種目で開催される国際大会とは、考え方のスパンも、内包する課題もかなりスケールが異なるというわけだ。

 招致活動においては、パラリンピックに向けたバリアフリー化なども含め、さまざまに施設が整備される。また、アート展や学習読本などを通じて、理念を伝えるというプロジェクトもある。実はもうすでにムーブメントは盛り上がりを見せているのである。

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