ハイモア ●株式会社エム・ティー・エイ ●墨田区八広 ●1990年設立 ●従業員数2名
TOKYO★世界一 (8)
ハイモア
エム・ティー・エイ
東京にある、世界トップクラスの技術・技能―。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。下町風情が今も残る墨田区八広のエム・ティー・エイは、生物が生きるうえで必要不可欠な水の安全性に着目。「安心して飲める水」を完成させたが、その過程で誕生し多分野で活用されているのが貝殻の焼成カルシウム製剤。驚異的な効力を有する、その多くをご紹介する。
(取材/袴田宜伸)
きっかけは、「アトピーで苦しんでいる友人の子供を助けたい」との思いだった。
エム・ティー・エイの代表取締役社長・宮崎達氏は、水道水に含まれている塩素がその原因とにらみ、「安心して飲める水」作りをスタート。
中学の理科から勉強し直し、成分の絶対条件は「害のない天然物」。それに見合うものとして鉱石に目をつけ、探求・テストを繰り返した。その結果、ミネラルが豊富で、水道水に浸けておくだけで塩素を取り除ける、花崗岩(かこうがん)に行き当たった。
疎開先で見た光景をヒントに貝殻に注目
花崗岩は抗菌力をも備えていたが、満足させるほどではない。「何かで抗菌力を補おう」と考えた宮崎氏の脳裏に、子供の頃の光景が浮かんだ。
「疎開先で漁師が、燃やした貝殻を粉々にして水槽に入れていたのですが、その中で鯛が元気に泳いでいたのです。それを思い出して、焼いた貝殻には抗菌作用があるのではないかと考えました」
身近なアサリなどからテストし、ホタテやホッキ貝の貝殻に高い抗菌力があることが判明。その後、日本食品衛生協会の「殺菌および残留塩素除去試験」合格をはじめ、さまざまなテストもクリアして2003年、「e2-water」(イーツー・ウォーター)が誕生した。
花崗岩と焼成貝殻が内包された布を水に浸けておくだけで無害で美味しい水に変わるe2-waterが評判を呼ぶと、同時に注目されたのが焼成貝殻の効力。飲用水だけでなく多方面で活用したいとの要望に応え、それ自体で販売されるようになった。
「これ以上いいものはない」との思いを込めてそれは、「ハイモア」と命名された。
鮮度保持の効果によって台湾への輸出が可能に
ハイモアの特徴の一つは抗菌性。従来の製品にはカビ、細菌、ウイルスの全てに効果があるものは少なく、また、大半が塩素を含んでいて人体に悪影響を及ぼしかねない。
対してアルカリ性のハイモアはその全てを滅菌。しかも人体にも無害なため、食料品にも使用でき腐敗も防ぐ。
また、酸化したものを元に戻す還元力があることも大きな特徴だ。宮崎氏は言う。
「釘が錆びることが酸化の一例で、酸化するということは物が劣化・腐敗することと同じです。ハイモアは強い還元力がありますから、物の劣化・腐敗を防ぎます」
こうした特質がベースにあるのでハイモアは、防腐・防錆・消臭できるのはもちろん、鮮度保持の効果も高い。日本有数のレタス産地・長野県川上村で採れたばかりのレタスにハイモア水を散布したところ、鮮度が伸び、台湾にまで輸出できるようになった。
多くの人が口にするものその安全性を共有したい
ハイモアは食品加工会社や生鮮市場で主として使用されているが、その実績が新たな顧客を生み出し、機器の切削液や畳の製造などさまざまな分野で活用。最近では中国など、海外からの引き合いも増えてきている。
「今、築地の魚河岸では床の洗浄・殺菌に、やむなく塩素を使っています。でもハイモアなら無害で抗菌・消臭ができ、魚にかかったとしても抗菌し鮮度を助け、複合的な効果を発揮します。多くの人が口にするものだからこそ、よりいっそうハイモアをご使用頂き、多くの方々がその安全性を共有できればと願っています」
食の安全が脅かされている昨今、ハイモアには安全保持の先兵役としても、より多く活躍されることを願う。
沿革 ※一部抜粋
1990年 |
株式会社エム・ティー・エイを設立 |
1996年 |
厚生労働省第120号食品衛生法および食品改善法「既存添加物名簿」第218号「貝殻焼成カルシウム」認定 |
1997年 |
花崗岩と焼成貝殻の混合による水質浄化効果発見(2002年に特許第3327542号を取得) |
1999年 |
財団法人高分子試験評価センターにて食品衛生法および添加物などの基準に適合 |
2000年 |
New York/A.A.L,Inc.にて殺菌効果99.5%確認 |
2002年 |
財団法人日本食品分析センター「e2-water」水道法水質基準適合 |
2003年 |
「e2-water」商品化・発売開始 |