東京港をさらに機能強化
首都東京の生活と経済を支える都市基盤の整備は、災害から都民の生命と財産を守るとともに、東京の都市再生を図る上でも着実に進めることが必要だ。東京都はバブル崩壊後、財政悪化により投資的経費の削減を余儀なくされてきたが、石原知事が進めた財政再建が実を結んだこともあり、2004年度以降は、順調に回復傾向を見せている。現在は2016年のオリンピック招致を見据えた長期計画「10年後の東京」に沿って、さらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わらせるための施策が展開されている。都市基盤整備の現状を紹介する。
道路・河川整備
道路整備は、高コスト構造の原因となっている交通渋滞を解消する上でも重要な課題となっている。とくに首都圏では環状方向の幹線道路整備が遅れており、圏央道、外環道、首都高中央環状線のいわゆる「三環状」の整備が急務だ。このうち、中央環状線は「新宿線」の池袋〜新宿間が昨年12月に開通、現在は渋谷までの工事が鋭意進められている。さらに、「品川線」については、東京都施行の街路事業との共同事業により、2013年度の完成を目指している。
また、都内に約1160カ所ある踏切は、交通のボトルネックとなっていることから、JR中央線、京浜急行線などで、道路と鉄道の連続立体交差事業を推進し、その早期解消に努めている。
安全・安心のまちづくりでは、地震や水害、土砂災害に強い都市づくりに取り組んでおり、中小河川の護岸整備、地下調節池の建設、防潮堤の耐震性向上を図っている。
一方、都民が潤いとやすらぎを感じる都市空間の創出も重要な課題。そのため、緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備を、道路や河川の事業と連携して推進しているほか、「街路樹100万本」計画の達成、センターコアエリア内の都道の「100%無電柱化」も促進している。
港湾整備
東京港は、首都圏4千万人の生活と産業を支えるとともに、日本の海運拠点として重要な役割を担っている。現在、東京港はコンテナ貨物取扱量ではわが国の一位を堅持しているが、近年のアジア諸港の急成長に伴い、国際競争力の強化が重要な課題となっている。そのため、大型コンテナ化への対応、港湾コストの低減など、ハード、ソフト両面から改革に取り組んでいるところ。
現在、港湾施設の整備は「第七次改訂港湾計画」に基づいて、外貿コンテナターミナルや内貿ユニットロードターミナルの充実に努めているほか、「東京港臨海道路」の第II期事業が国とともに進められている。
一方、臨海副都心開発は、都市基盤施設がおおむね完成。新たな事業者の進出も決まるなど、開発は着実に進んでいる。住宅建設を中心とした有明北地区の開発もいよいよ着工の運びとなっており、2015年度のまちの概成に向け開発は最終段階を迎える。
このほか、中央防波堤内側埋立地に建設する「海の森」の整備、島しょ地域の港湾、空港整備にも鋭意取り組んでいるところだ。