地域分断や交通渋滞を解消
■小田急小田原線(代々木上原駅〜梅ヶ丘駅間)連続立体交差事業及び複々線化事業
本事業は、人口八十万人を超える世田谷区内の広域生活拠点である下北沢地区において、東京都による連続立体交差事業と小田急電鉄による複々線化事業を一体的に行うものである。
これにより、小田急線で最も混雑する区間の開かずの踏切九ヵ所が廃止され、地域分断や交通渋滞の解消が図られるとともに、列車の増発が可能となり、ラッシュ時における鉄道の混雑緩和や所要時間の短縮等、抜本的な輸送サービスの改善が図られる。
また、本事業と併せて整備される駅前広場によって鉄道とバス等その他の交通機関との乗継ぎ利便性が大幅に向上することから、相乗効果として総合的な拠点整備がなされるため、地域住民と鉄道利用者から大きな期待が寄せられている事業である。
本計画は小田急線の東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅の三駅を含む延長二・二kmで、現在地上を走る小田急線を四線地下化する計画である。当該地域は、世田谷区内でも特に密集した市街地にあり、非常に厳しい作業条件となっている。このため事業区間のうち京王井の頭線と交差する下北沢駅周辺では、周辺への影響が極力少ないシールド工法を採用している。
この下北沢駅周辺での工事手順は、先ずシールド工法で二線分の地下鉄道構造物を構築し在来線を地下化する。その後、更に二線分の地下鉄道構造物を構築し二線二層の四線地下化とする計画であり、事業完了にはシールドマシンの早期発進が課題となっている。
現在は、シールドマシンの発進に向け、シールドマシンの立坑内への投入や諸設備の設置等を行っており、五月には発進準備が整い、いよいよ発進する予定である。
また、このシールド工事は、在来線の直下を掘進する前例の少ない大変難易度の高い工事であり、トンネルの専門家等による技術委員会を設置し、安全面・技術面での詳細な検討を行うとともに、シールドマシン掘進にあたっては、在来線軌道や交差する京王井の頭線の計測管理を行うなど、鉄道輸送および工事の安全確保に十分配慮しながら工事を進めていく。
工事は、住宅や商店が密集する地域であることに加え、東京メトロ千代田線と隣接する他、環状七号線や京王井の頭線との交差部を有する等、大変難易度の高い工事である。多くの方から期待が寄せられている本事業の一日も早い事業完了に向け、地域住民や関係者の協力を得ながら鋭意工事を進めていく。