十八日にまとまった東京都の来年度予算原案は、一般会計で六兆八千五百六十億円となっている。そのうち、投資的経費は七千百九十九億円と、七年ぶりに七千億円を超えた。「十年後の東京」の実現に向けた取り組みが本格化し、都市基盤整備は勿論、環境、福祉などの分野においても都民の負託に積極的に応えようとする石原都政の意気込みが反映されている「十年後の東京」の実現に向けた施策の内容を見てみた。
○都民生活の安全確保
治安対策では、テロ・組織犯罪対策の強化に五億円を計上した。三次元顔形状データベース自動照会システムの構築など、最先端技術を用いて対策の強化を図る。
都市災害対策では、震災に強いまちづくりに百五十億円を計上、マンションの耐震化助成事業、無電柱化の推進を実施する。
○快適な都市環境の実現
地球温暖化対策として「カーボンマイナス東京十年プロジェクト」に二百三億円を投入する。二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減する。
大気汚染・廃棄物対策の推進に三十四億円を計上、大気中微小粒子状物質(PM二・五)に関する調査などを行う。
○都市機能の拡充
道路整備では、区部環状道路や多摩南北方向道路などの骨格幹線道路の整備を促進するため九百八十三億円を投入する。
東京の新たな魅力を発信する拠点として、東京駅丸の内周辺整備などに百二十八億円を投入する。また福祉のまちづくりに二十億円を計上、ユニバーサルデザインの観点に基づく整備を進める。
○福祉・保健・医療の充実
子育て環境の整備に十二億円を投入、社会全体で子育てを支援する取り組みの充実を図る。今年四月から創設される後期高齢者医療制度の安定的な運営を図るため七百二十五億円を計上、基金の設置などを行う。
低所得者に対する支援として、生活安定化プログラムを開始、九十七億円を投入する。
○産業力の強化
地域における産業の活性化を支援するため、二百三億円を計上した。地域中小企業応援ファンドなどの事業を実施する。また中小企業精度融資に千八百六十億円を計上、前年度と同規模の融資を目指す。
東京の魅力を世界に発信するため、観光産業の振興に三十億円を計上、シティーセールスや観光資源の開発などに取り組む。
○教育・文化・スポーツの振興
特別支援教育の推進に八十二億円を計上、障害を持つ児童・生徒の社会的自立を目指す。
芸術文化の創造・発信に十六億円を投入、都有財産を活用した制作・交流の拠点を整備する。
二〇一六年のオリンピック招致を推進するため、五十六億円を計上、オリンピックムーブメントの推進などを行う。なお五輪招致推進活動経費として、平成十八年九月(国内候補地決定)から平成二十一年十月(開催都市決定)までの期間の経費を算定した。総額は百五十億円となっている。(内訳などの詳細は図2を参照)