2008年12月20日号
鳥瞰 「“初心忘るるべからず”を再考しよう」
プロがプロたる所以は、基本に忠実なこと

 しばらく前の話だが、結構なお値段を取るレストランで、無帽で指揮を取るコックに遭遇した。当世風にオープンキッチンで忙しく立ち働くコックたちの姿が客席から見える仕組みだから、一際偉そうに指図するそのコックはいやでも目に付く。客席に運ばれる前の皿をチェックする姿は、むしろどこか誇らしげで、“俺がシェフ!”と自己を主張しているかのようだ。

 しかし私は気に入らない。調理場にいる他のコックは全員きっちりと帽子をかぶって仕事をしている中で、長たる存在である彼だけが無帽でよい訳は無い。そこでウェイターを呼んでそれを指摘し、帽子をかぶって貰った。

 さぞ煩い客と思われたことは、それを伝えられた彼の顔に表れていた。学生街の食堂なら、そんなことを言いはしない。一流を気取る、レストランなればこそ、そんな基本には忠実であって欲しい。プロ意識の欠落と言われても、彼に抗弁の余地は無い。

 そんな事例を挙げて行けば際限は無い。どうも仕事に倦んで、基本から離れているのは、なにもコックだけではない。

 新聞を賑わせる、社保庁の例を挙げるまでも無く、役人の世界では、タックス・ペイヤーたる市民の為の仕事をすることが本分であるにも拘わらず、何故か官尊民卑の思想に毒され、自らの立場を忘れていることが多すぎはしないだろうか。。

 多くの場合、学業成績が優秀な者が、官業に従事する。それはそれだけその仕事に対する期待値が大きいから、より良い結果を求め易い優秀な人材を就任させていることに他ならない。

 間違っても本人の資質が優れ、尊敬に値するからではない。求められるステージが高いが故であって、その付託に応えられる仕事をすることを社会が求めているからに他ならない。忘れないで欲しい。

 役人に求められている仕事の内容こそが、人々の尊敬、期待を集めるのであって、見せかけの名刺の肩書きではないことを。

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