2008年2月20日号
鳥瞰 「四十五歳定年のすすめ」
新しい人生設計プランが日本の活力を生み出す
人間の寿命は明らかに長くなった。不惑といわれた四十歳の重さは、この五十年で随分違って来ているのではないだろうか。
企業の定年とは、昔は何処でも五十五歳だったのが、少しずつ伸ばされて今では、六十歳が当たり前で、六十五歳となっている企業だってある。
しかし考えてみて欲しい。終身雇用が前提だった時代ならいざ知らず、今日ジョブホップは、ごく当たり前に行われて居るし、一つの企業に忠誠を誓うことが美徳とはされない時代を迎えている。
いっそのこと定年を、初めから四十五歳としておけば、仕事への緊張感は格段に上昇するはずだ。
大学を出て二十年余を経過すれば、本人にとっても、企業にとっても、その仕事への適正は明らかになっているし、そこから先は年次契約で、仕事と給与を決める制度が望ましい。
サラリーマンとは、我慢と引き換えに給与を手にしているとよく言われるが、そんなスタンスの社員を抱えて居られるほど、企業側も余裕がなくなっている。
激烈な競争社会、それも国内で勝ち抜くことだけではなく、グローバルに世界を相手に戦わなければならぬ企業人は、鍛え上げられた精鋭であることを求められる。
そんな意欲と実力に恵まれた人材も、それこそ四十五歳からは年次契約で、いくらでも実力に見合った報酬を手にすることが出来ようし、不幸にしてその会社とは合わなくとも、その年齢なら、まだ充分に転職の道が開かれる。初めから制度として四十五歳がターニング・ポイントとされていれば、人生設計だって随分違ったものになるだろう。
能力に関係なく護送船団で、定年まで縛り付けるような雇用のあり方を、今こそ見直す時代と考えたい。