NIPPON★世界一 (59)
●株式会社インフォマティクス
●川崎市幸区大宮町1310
●1981年10月 ●社員数 180名
空間情報ソリューションの提供
株式会社インフォマティクス
日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
道路、都市計画、上下水道、公園など、生活に関わる各種情報を地図上に表示する「空間情報システム」。今や我々の生活に当たり前の存在となっているこのサービス提供に、いち早く乗り出したのが、株式会社インフォマティクスだ。進歩著しいこの業界で、先駆者が描く展望に迫った。
(取材/種藤 潤)
今日、我々が地図を見ようと考えるとき、どういう行動に出るだろうか? 地図帳を開く—という人もいるだろうが、スマートフォンやタブレットを持つ人はほぼ間違いなく、デジタル画面で地図を確認し、場所の確認やルート検索をするだろう。
このように、地図上にさまざまな情報を表示するシステムを一般的に「GIS(Geographical Information System/地図情報システム)」というが、それは我々一般ユーザーだけが利用しているのではない。例えば行政機関では道路、上下水道、電気、ガスなどの都市インフラの管理業務に使用したり、小売業や飲食業では人口分布や店舗配置などを組み合わせてエリアマーケティングに利用したり、物流企業などではトラックなどの最適ルート検索や、作業状況を送受信して配送を効率化したり……。ビジネスのさまざまなシーンでも取り入れられているのである。
「空間情報システム」を日本に取り入れた先駆者
このGISをはじめとする「空間情報システム」を国内でいち早く展開、ライセンス販売とアプリケーション開発を進めてきたのが、株式会社インフォマティクスだ。
同社がこの事業に乗り出した1995年頃に比べ、同社の商品を含む「空間情報システム」は前出の通り着実に浸透してきたが、一方で現状の課題もあると、三原正一同社代表取締役社長は語る。
「官公庁でも企業でも、所有するデータを組織全体で統合的に運用・管理することに空間情報システムのメリットがあるのですが、管理するデータごとに異なるサービスを使用していたり、仕様が異なったりして、統合が難しいケースが多い。しかし弊社のシステムを用いれば、解決することができます」
異なる仕様を一元化し管理・閲覧できるシステム
同社が取り扱うSIS(SPATIAL INFORMATION SYSTEM)は、他のシステム・アプリケーションとの相互運用性に優れており、仕様の異なる各種データを統合的に管理するのはもちろん、さまざまな用途や規模のシステムにも柔軟に対応。標準的なGISアプリケーション開発や、インターネット経由で閲覧できるWeb GISサービスへの拡張を、スムーズに行うことが可能になるという。
「互換性の高さだけでなく、操作のスピードや目的に応じた高い編集機能もSISの特徴のひとつ。より多くの人に使いやすいシステム構築が可能になっています」
2011年からは新サービス「GeoCloud」の展開もスタート。現在ITで主流となりつつあるクラウド技術を活用し、いざというときに安全で、かつサーバ負担を軽減した「空間情報システム」の構築にも着手している。
目指すは社会の標準となる空間情報システム
こうした独自の取り組みが評価され、同社の手がける「空間情報システム」は、府中市、町田市、大田区、杉並区などを中心に、警察・消防、鉄道、電力、建築・不動産、教育・研究機関など、実にさまざまな分野に採用されている。
「特に我々の製品は、多様なデータを管理する必要のある官公庁様が求める空間情報システムに適していると考えています。官公庁様ごとにニーズは異なると思いますが、そうした多様なニーズに応えられるのも弊社の強みです」
現在は顧客ごとのニーズに応じて製品・サービスを開発・提供している同社だが、その現状に甘んじることなく、より高いレベルの「空間情報システム」構築に励んでいるという。
「目指すのは、老若男女誰でも使うことのできる、社会全体の標準となる空間情報システムです。それにはもっと使いやすく、シンプルな仕組みにする必要があります」
同社は、そうした最新技術はもちろん、「空間情報システム」の導入事例などを知ることのできる「空間情報シンポジウム」を、18年にわたり独自に開催し続けている。今年も7月10日から全国8都市で開催。詳細はhttp://www.informatix.co.jp/top/sympo_top.htmlまで。