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技術日本一
2013年5月20日号

 

NIPPON★世界一 (59)

株式会社内田洋行 福祉・介護の情報管理システムの開発・販売

●株式会社内田洋行
●中央区新川2-4-7
●1910年創業 1941年設立

福祉・介護の情報管理
システムの開発・販売

株式会社内田洋行

 日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。

 教育・オフィス関連商品の企画から販売、情報関連事業と、独自の手法で事業展開するマルチベンダー・内田洋行だが、福祉・介護分野へもいち早く参入してきた歴史がある。その同社が2013年4月の「障害者総合支援法」改正にともない、いち早く新商品をリリースした。

(取材/種藤 潤)

 


 今年4月、地域における障がい者の日常生活・社会生活の総合的支援を目指し、「障害者支援自立支援法」が改正され、新たに「障害者総合支援法」が施行された。

 これにともない、これまでも介護・福祉サービス事業者向けの情報管理システム「絆 福祉台帳」を手がけてきた内田洋行が、大幅な改良を加え、「絆 障がい者福祉システム あすなろ台帳(以下 あすなろ台帳)」を新たに開発、リリースすると発表した。

 「改正直後に新商品をリリースしたのは、弊社が業界では先駆けでした。顧客ニーズを第一とする内田洋行として、いち早くお客様に法改正に対応したシステムをご提供したいと考え、開発を進めてきました」。取材に応じてくれた広報課課長の佐藤将一郎さんと、同課の長谷川泰さんは、そのシステムについて自信を持って語る。

 

法改正に対応した情報管理システムを構築

 新システム「あすなろ台帳」では、法改正によって求められる障害福祉計画の策定から実施、モニタリング、検証にいたるPDCAサイクルをシステム化。法改正にともない統一される計算書様式にも対応し、複数の事業間・職種間の連携促進・情報共有を円滑にする情報ポータル機能も装備。さらに報告書を電子化するとともに電子承認機能を追加し、適正な情報開示も推進。さらに厚労省個人情報ガイドラインに準拠した情報保護システムを採用。セキュリティ機能も強化されている。

 「新しい法律では、障がい者支援の対象が大幅に拡大することが想定されると考えています。これにより、一人の障がい者の方に対して福祉事業者様はもちろん、企業、自治体、地域コミュニティなど幅広いジャンルの場で、自立した生活を実現されることが期待されます。そのために重要なのは、情報の共有化です。関係者がいつ、どこで、誰でも障がい者の方の状況を把握できるよう情報を一元化し、自立に向けての着実なご支援を行うために、相談支援、計画立案などを充実していくことが、これからの福祉介護サービス事業者様には求められてくると考えています」

 

既存の顧客の声を反映した使いやすい情報システム 

同社がリリースした「絆 障がい者福祉システムあすなろ台帳」のサービスイメージ図

同社がリリースした「絆 障がい者福祉システム あすなろ台帳」のサービスイメージ図
※クリックすると拡大表示になります

 「あすなろ台帳」の画面(ページ左上参照)では、「お知らせ」や「業務連結」「予定」「承認・申請」「ToDo・メモ」など、福祉支援に関する各種情報がコンパクトに集約して表示されている。画面は職員ごとにカスタマイズすることが可能で、それぞれの職種・役割に応じた、使いやすい画面を作ることができるという。

 「正直、特別な新技術を導入している訳ではありません。しかし、現場ニーズでは、ICTを活用しやすくするための画面のシンプルさや、専門的な業務の流れや用語に即することなど、お客様を知る内田洋行だからこそ期待される点を重視しています。旧システム『絆 福祉台帳』の多数のお客様とのご関係にもとづくニーズの把握こそが、このシステムを完成させたと思っています。現場の事業者様には、使い勝手のよさなどをぜひ見ていただきたいですね」

 同社は1984年から介護システム・介護ソフトの草分けとして福祉介護システム「絆シリーズ」を開発、1500の福祉・介護システムに導入されてきた歴史を持つ。

 「弊社は福祉介護業界に限らず、教育やオフィスなどの分野でも、常に顧客側に立った商品企画・開発を徹底してきたマルチベンダーです。それを今回の新システム構築でも、変わらず発揮したということです」

 

真似されるのは当然のこと
システムはさらに進化する

 法改正を見越し、いち早く開発を進め、商品化につなげた同社だが、当然それをベースに他社が開発、類似機能を備えた商品が出現することも考えられるだろう。それについては佐藤さんと長谷川さんは大きな枠で捉えている。

 「もしも、いい商品・サービスとして真似されるということがあれば、それはお客様や業界に何か一石を投じることができたということだと思います。我々がお客様のお声を吸い上げているのであれば、業界で真似される商品・サービスでなければならないですね。そして、さらにシステムを進化させ、より使いやすいものにバージョンアップも進めていく。今回の『あすなろ台帳』は、あくまでそのスタートだと思っています」

 

 

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