ランチタイムを活用した職員座談会開催
延べ1,200人超の職員が視聴、満足度は9割を超える

  • 写真提供:東京都

人口減少社会の中で豊かで多様性のある社会をつくるには、人口の半分を占める女性の力を最大限引き出していくことが不可欠である。都ではこの考えの下、あらゆる場面で女性が持てる力を発揮できるよう、様々な取組を行っている。その一環として、都は、意欲や能力のある女性職員が管理職を見据えたキャリアを前向きに考える機会を設け、管理職選考の受験につなげることを目的として、令和6年12月から翌年2月にかけて3回にわたり、「一歩踏み出すあなたを応援!女性職員のためのランチタイムセミナー」を開催した。

第3回ランチタイムセミナーでの小池知事と出演者

女性管理職がランチタイムセミナーを企画

 本セミナーは、キャリア・メンターを務める女性管理職の発案がきっかけとなり実現した。キャリア・メンター制度とは、職員がキャリア形成や家庭と仕事の両立などの悩みについて、局や部署を超えて相談員(キャリア・メンター)に相談できる仕組みとのこと。

 発案した職員によると、多くの女性職員が管理職に挑戦することに対して障壁を感じ、一人で悩みを抱えている職員も身近にいたという。

 そこで、女性管理職が、管理職の魅力や育児等との両立についてざっくばらんに語る様子をオンラインで広く庁内に配信し、職員がランチを食べながら気軽に聞くことができるセミナーの企画を思いついたとのこと。

 現在、都庁の女性管理職の比率は約2割であり、今後10年でこの比率を30%に引き上げることを目標にしている。そのためには、より多くの女性職員が管理職試験に挑戦することが必要である。こうした課題認識の下、今回、人事制度を所管する総務局人事部と全庁の広報の要である政策企画局戦略広報部がタッグを組み、セミナーを開催することになった

知事がランチタイムセミナーに出演

 3回シリーズのセミナー1回目は、テーマを「管理職の魅力」として、久保田直子戦略広報調整監(政策企画局理事(報道調整担当)兼務)をゲストに迎え、「事務」、「建築」、「機械」など様々な職種の女性管理職が、「管理職のやりがい」や「管理職昇任前に思い描いていた管理職像とのギャップ」などについて語った。  「管理職のやりがい」としては、仕事や出会いの幅が広がるという意見が多く、自分で決めたことを実現できる、部下が成長している姿を見られるという意見もあげられた。「管理職昇任前に思い描いていた管理職像とのギャップ」としては、総務局人事部の池上職員支援課長が、「管理職は孤独なんだろうと思っていたが、実際になってみると、信頼できる人たちに囲まれ、時に助けてもらいながら仕事ができるので、孤独を感じたことはない」と語り、登壇者の深い共感を得ていた。

第1回ランチタイムセミナーでの久保田戦略広報調整監(中央)と出演者

 2回目は、テーマを「育児等と仕事の両立」として、女性活躍の推進を担当する松本明子副知事をゲストに迎え、子育て中の管理職が、「突発的な時間外・休日業務への対応方法」、「管理職になることへの家族の理解とメリット」などについて語った。

 「突発的な時間外・休日業務への対応方法」については、パートナーと調整する、親を頼るといった意見に加えて、ファミリーサポートやベビーシッターなど自治体や民間の子育てサービスを活用するとの意見も出た。出産・育児と昇任のタイミングについては、管理職選考合格後2人の出産を経験した住宅政策本部住宅企画部の大澤調整担当課長が、「管理職候補者期間が長くなるけれど、子どもも欲しいと思って、迷わず自分で選択し、今すごく満足している」と語り、ライフイベントとキャリアの兼ね合いに悩む女性職員の背中を押した。

 松本副知事は、子育てとの両立で苦労した経験を語ったうえで、職員からの質問「つらかった経験はありますか?」に対して、「いまだかつて、管理職になって後悔している子育て経験のある職員に会ったことがない」と回答。これに、勇気づけられた視聴者は多かったという。

 3回目は、テーマを「管理職になるにはどうしたらいい?」として、管理職選考の種別や職種が異なる女性管理職及び管理職候補者が、「管理職選考対策」や「管理職に求められる資質」などについて語り、職員からの質問にも回答した。

 試験対策について、管理職選考Aに合格している政策企画局戦略広報部企画調整課の細木課長代理は、「職場の勉強会で論文の基礎を学び、スキマ時間で、スマホで、行政課題について地方・国・世界の取組を調べてまとめていた」、管理職選考Bで合格した、都市整備局総務部の鯨岡企画技術課長は、「平日は通勤時間に、週末は料理をしている時、煮込んでいる時間に鍋を見守りながら勉強していた」などと語った。

 「管理職に求められる資質」については、判断力、責任感、コミュニケーション能力のほか、バランス感覚、機嫌良く話をきちんと聞く、などがあげられた。

 終盤には小池百合子都知事も出演し、「目の前のことをしっかりとこなしながら、自分がやりたいなと思っていることをいつも胸に秘めながら、研ぎ磨いていってほしい」「人生1回なので、あの時こうすれば良かった、ああすれば良かったと思うよりは、やってみた方がいい」と職員へ語りかけた。

第2回ランチタイムセミナーでの松本副知事(右から3番目)と出演者。松本副知事が掲げるフリップの数字は、2024年のジェンダー・ギャップ指数。日本は146か国中118位

視聴者の満足度は9割超

 3回にわたるセミナーの延べ視聴者数は1200人を超え、最後のセミナー後の視聴者アンケートでは、満足度が9割超、管理職になりたい、なってもよいと回答した職員の比率が7割を超えた。このことから、本セミナーを視聴したことで、女性職員がキャリアを前向きに考えるきっかけになったことが伺われる。

 具体的には、「知事をはじめとするトップの方に応援メッセージをいただき、心強さを感じ、管理職選考にチャレンジしてみたいという気持ちの後押しになった」、「女性の管理職の話を聞ける機会がないため、気軽に話を聞けて満足した」などの声が寄せられた。

 また、視聴者の約2割が男性職員であり、感想として、「男女問わず、管理職として働く魅力が発信されていた」、「女性管理職のリアルな声が聴けて良かった」、「出演者が、育児等と仕事の両立について、パートナーや職場の協力のおかげであり、感謝していると話していたことは、両立に自信がない部下職員へ受験勧奨をする上での参考になる」などの声が寄せられた。男性職員にとっても励まされ、示唆に富む内容だったようだ。

女性活躍の輪を東京から日本全体へ

 都では、令和6年12月から、あらゆる場面で女性が持てる力を発揮できるよう、東京のみならず日本全体に女性活躍の輪を拡げ、気運情勢を進めていく「Women in Action」(WA)をスタートさせた。隗より始めよで、都庁内でも、男性も女性も問わず意欲や能力のある職員が積極的にキャリアアップに挑戦できる環境づくりを職場一丸となって推進していくという。

 (役職名はランチタイムセミナー実施日時点)

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