新たなテレワークルール
「我が社のベストバランス」で柔軟な働き方を実現

コロナ禍において、事業継続対策としてテレワークを導入した企業が急速に増加したが、コロナの5類移行に伴い、一部の企業において出社回帰の動きが見られるようになった。また、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方も拡大傾向にある。こうした状況を踏まえ、東京都では、在宅とオフィスでの勤務のバランスを踏まえた新たなテレワークルールである「我が社のべストバランス」を推進することとしており、柔軟な働き方を実現する環境の整備に向けて様々な支援を行っている。新しいテレワークのステージへのシフトを促進する都の取組を紹介する。

テレワーク定着強化支援事業

都は、テレワークと出社にかかる新たなルール作りを行う企業に対して奨励金を支給し、テレワークの効果的な活用を促している。

 具体的には、テレワークにかかる従業員のニーズ調査を行い、社内に設置したPTにおいて、自社のテレワークルールの見直しについて検討・試行・検証を行った企業に、最大40万円を支給し、テレワークの定着を図っている。

「テレワーク東京ルール」実践企業宣言

この制度は、テレワーク東京ルールが定めた「働き方改革」や「ビジネス革新」など5つの戦略を踏まえ、各企業がテレワーク勤務について「我が社のテレワークルール」を設定・宣言する、東京都独自の制度であり、約1万1千社が宣言を行っている。

 本事業のホームページには、各宣言企業のテレワークの取組内容が掲載されており、前述の「テレワーク定着強化支援事業」において、テレワークルールの見直しを行った企業の取組も掲載されている。

サテライトオフィス勤務応援事業

テレワークは、在宅勤務だけにとどまらず、タブレット端末等を活用したモバイルワークやサテライトオフィスでの勤務など、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を意味する。そこで、都は、新たにサテライトオフィス勤務制度を導入し、従業員が実際に利用した企業に奨励金を支給し、出社でも在宅でもない、いわゆるサードプレイスの活用を促進している。

 具体的には、サテライトオフィス勤務の規定を新たに整備し、都が定める取組期間中に対象となる従業員が1回以上サテライトオフィス勤務を行った場合に10万円を支給し、自宅以外でもテレワークが可能なサテライトオフィスでの勤務を促している。

TOKYOサテライトオフィス交流フェア

また、サテライトオフィスに関心のある企業や利用検討者を対象に、サテライトオフィス事業者との交流イベントの開催も行っている。

 会場には、サテライトオフィス事業者の個別ブースを設置し、サービスの紹介や具体的な導入事例について知ることができる。また、セミナーやトークセッションも開催し、新しい働き方について色々と知ることができるほか、無料の個別相談会も実施しており、サテライトオフィスを自社で導入するために必要な取組事項等について説明を受けることができる。

テレワーク導入ハンズオン支援事業

本事業は、卸売・小売業や建設業など、テレワークの導入が難しい業種の都内中堅・中小企業等に対し、伴走型できめ細かい支援を行い、その導入等を促進するものである。

 具体的には、経験豊富なICT等の専門家を企業に派遣し、企業の実情や課題に合わせて、課題整理や機器・ツールの選定、テレワーク規程の整備等について助言を行う。また、コンサルティングを受けた企業等を対象に、ノートパソコンや業務ソフトウェア等の導入経費の助成も実施している。

 こうした取組を通じ、企業がテレワークを導入する際の負担を軽減し、積極的な導入を促している。

テレワーク定着への課題解決アドバンス事業

コロナ禍にテレワークを導入したが、運用上の課題を抱えている企業も多いことから、本事業では、テレワークの課題解決に向け、専門家による助言やツール導入経費の助成を行い、テレワークの定着を支援している。

 具体的には、企業がWEB上でテレワーク課題の診断を行い、セキュリティや通信環境等、自社の問題を明確化した後に、ICT等に精通した専門家から解決に向けたアドバイスや活用可能な助成金の紹介を受ける。さらに、ツール導入にかかる経費を助成している。

育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進事業

令和7年度から改正育児・介護休業法が施行され、3歳に満たない子を養育する労働者や要介護状態の家族を介護する労働者のためのテレワーク導入が事業主の努力義務となる。本事業では、こうした動きを契機としてテレワークの導入を促進するための経費助成等を実施している。

 具体的には、育児や介護を抱える労働者のためのテレワーク環境の構築や就業規則の見直しなどにかかる経費を助成するとともに、規定の整備にあたって社労士等の専門家を派遣し、テレワークの導入を促している。

新たな時代の働き方の実現を目指して

コロナ禍では、一律に在宅勤務を行うことが求められたが、本来、企業にとって最適な働き方はそれぞれ異なっており、今後は、企業の実情に合わせたテレワークが着実に進められていかねばならない。

 また、求職者が企業を選ぶ際、テレワーク制度の有無が決め手となる場合も多く、テレワークは人材確保策の一つとしても欠かせないものとなっている。

 都は、こうした様々な観点からテレワークの導入と定着支援に向けた施策を展開し、新しい時代における柔軟な働き方の実現を目指していく。

 (図版提供・東京都)

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