生活文化スポーツ局長 古屋留美氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は生活文化スポーツ局長の古屋留美氏。来年開催されるスポーツ大会や文化イベント、結婚支援、消費者トラブル防止等の取組を伺った。

多様な都民ニーズを担う

生活文化スポーツ局長 古屋留美氏

子供たちに観戦体験を

—来年9月には世界陸上、11月にはデフリンピックが東京で開催されます。

 東京2020大会後、そのレガシーを活かし、スポーツ振興に取り組んでいます。

 スポーツを会場で観戦することは「自分でもスポーツをやってみたい」という気持ちにさせてくれます。東京2020大会はコロナの影響により無観客での開催だったこともあり、世界陸上では観客で会場を一杯にしたいです。

 特に、子供たちが、会場で生の迫力ある競技を見ることは大きな意義があると思います。また、先日、大会1年前のイベントを開催しましたが、子供たちには陸上競技体験として、小さなハードルなどを楽しんでいただきました。このような観戦や体験を通じて、スポーツに取り組むきっかけになればと思います。

 デフリンピックは、デフ(きこえない・きこえにくい)アスリートのための国際的なスポーツ大会ですが、国籍や障害のあるなしにかかわらず、誰もが円滑にコミュニケーションができるデジタルの技術を社会に実装するきっかけにもなります。

 例えば、都有施設38か所に音声を多言語で表示する透明ディスプレイを設置しました。「いつでも・どこでも・誰とでも」つながるインクルーシブな街・東京の実現につなげたいです。

—パリ五輪では日本選手が好成績を残していますから、これを追い風にしたいですね。

 女子やり投の金メダリスト北口榛花選手が帰国後、「次の目標は世界陸上です」とコメントしていました。一流アスリートのパフォーマンスを東京で見ることへの期待が高まります。ぜひ、多くの方にスタジアムへ足を運んでいただき、応援していただきたいと思っています。

—都では、結婚支援事業にも取り組まれていますが、これまでの成果は。

 6月に、結婚相談所や式場・婚礼、アプリ関係団体が議論する全国初の取組を小池知事出席のもと行い、婚活・結婚関連団体とタッグを組み取組を進めています。

 また、9月には、結婚マッチングシステムを本格稼働し、予想以上の方からの申し込みがありました。

 マッチングアプリには、悪質な勧誘に利用されるなど消費者トラブルが心配との声もききますが、私たちの局では利用上の注意点や消費生活センターに寄せられた相談事例の紹介等、積極的な注意喚起も行っています。

 都の結婚マッチングシステムの登録には、独身証明書等の提出や、本人確認のための面談が必要ですが、「東京都がやっているなら安心だ」、「真剣に結婚を考えている人たちと出会える」ということで、婚活のきっかけとしていただいています。結婚を希望しながらも、これまで一歩を踏み出せなかった方の後押しができているかなと考えております。

東京をアートシーンの中心に

—消費者トラブルについては、若者や高齢者を狙ったものや、新たな手口による被害が後を絶ちません。

 消費生活部・消費生活総合センターは、局の中で最も歴史があり、都民生活の最前線です。

 どのような消費者トラブルが起きているのか等については相談や通報サイトなどを通じて状況を把握し、対策を行っています。

 都民の方に注意いただきたい情報はメディアに提供し、テレビの情報番組でもタイムリーに取り上げてもらっています。効果的な情報発信ができるよう局全体で、「伝わる広報」の実践にも力を入れているところです。

—文化施策にも積極的に取り組まれています。

 コロナ禍において、公演等が中止・延期となる中、文化の灯を絶やさないとの思いで、全国に先駆けたアーティスト支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」を実施しました。

 動画を作成いただき、それを作ったアーティストだけでなく、演出家、照明担当等のスタッフにも一人当たり10万円を助成しました。2万人の方の支援につながり、創作活動を続ける意欲を取り戻した等、大変喜ばれました。

 この取組を契機として、新人アーティスト、大規模フェスティバル、などの助成を拡充しました。

 さらに、小池知事の発案による都営住宅の空き店舗等をアトリエとして整備・活用する新たな支援も進めています。近年は、東京発のアーティストの国内外での活躍が目覚ましく、東京がアートシーンの中心となってきていることを実感しています。

—来年には東京お台場トリエンナーレ2025が開催されますね。

 アートを通じて東京にしかない価値や魅力を発信する国際芸術祭になります。 

 我々が支援してきたアーティストなどの発信の場としても活用していきたいと考えています。子供たちをはじめ、都民の方に文化の素晴らしさを体感できる機会としたいです。

—最後に局長の抱負は。

 当局は、ご紹介した以外にも、都民の安全や私立学校振興、男女平等参画、地域活動・多文化共生などを担当しています。都民の方の幅広い活動を支援し、多様なニーズに応えるのが役割であり、責任は非常に重大だと感じています。

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