建設局長 花井徹夫氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は建設局長の花井徹夫氏。道路や河川などの都市基盤整備、災害対策、公園整備などに関する思いを伺った。

首都東京の都市基盤を支える

建設局長 花井徹夫氏

自然災害に備え整備を促進

—局長に就任しての抱負をお願いします。

 建設局は、首都東京を支える道路や公園、河川といった都市基盤を24時間365日体制で管理・整備していることから、都民の皆様の安全・安心な生活に直結しています。そのため、地震や豪雨などの自然災害に備え、常に危機管理を念頭に置いています。改めてその責任の重さに身の引き締まる思いです。

 局の仕事の多くは、過去の経緯を引き継ぎながら地道に粘り強く取り組むことが必要で、次世代へ次から次へとバトンを渡し、チームとしてようやく実現するものがほとんどで、息の長い取組です。

 一方、多様化するニーズへの対応も求められます。柔軟かつスピード感を持って課題解決に取り組んだり、新たなことに恐れず挑戦する意欲も欠かせません。

 自由な議論や日々のコミュニケーションを通じ、職員一人一人の力を最大限に発揮し、強靭で持続可能な都市・東京の実現に向けた都市づくりを着実に推進したいと思っています。

—「安心で暮らしやすい社会の実現」が求められています。

 元日に発生した能登半島地震では、いたる所で道路が寸断され、改めて道路ネットワークの重要性を再認識しました。また輪島市での火災など大きな被害が発生しました。

 約4か月が経過したものの、復旧にはまだ時間がかかる見込みです。昨年、「TOKYO強靱化プロジェクト」がアップグレードされました。これらに基づいて都市基盤の整備を進めていきます。

 東京においても、首都直下地震が今後30年に7割の確率で発生すると言われており、いつ大地震が起きてもおかしくありません。全国的にも豪雨や台風が激甚化・頻発化しており、これらに伴う自然災害が多発しています。

 都民の命と暮らしを守るため、特定整備路線、堤防、調節池、無電柱化や防災公園の整備などを着実に進めるとともに、昨年12月に策定した「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」に基づく対策を推進します。

—「国際競争力と経済活力の強化」も重要ですね。

 都市の骨格を形成する幹線道路ネットワークの整備や、鉄道を連続的に高架化または地下化し、踏切による交通渋滞の解消を図る連続立体交差事業を推進していきます。また、国と高速道路会社により整備が進められている東京外かく環状道路整備を促進することも重要です。

 東京の弱点といわれる交通渋滞を解消し、国際競争力を高めるとともに、快適で利便性が高く、環境負荷の少ない都市を実現します。

2024年問題対応で業界を後押し

—「魅力ある都市づくり」に向けた取組は。

 東京の魅力を高めるため、昨年度策定した「パークマネジメントマスタープラン」に基づき、公園別のプランを定め、整備、維持管理、運営を展開し、都立公園の価値を向上します。

 葛西臨海水族園のリニューアルでは、子ども達の意見も踏まえながら整備を進めていきます。日比谷公園の整備では、印象的な花の景観を形成するほか、エントランスや園路等をリニューアルする予定です。

 また、昨年7月に始動した「東京グリーンビズ」の下、ツリーバンクの運用など、みどりと生きるまちづくりを推進していきます。

 さらに、首都高地下化の機会を捉え、日本橋川の河川の環境改善を図るなど、東京の魅力を引き出す取組を積極的に推進します。

—「都市基盤施設の良好な管理」についての考えは。

 整備・完成したインフラは、長きにわたって安全で使いやすいものであるために、都民目線に立った工夫や適切な維持管理が不可欠です。

 日常的な維持管理に加え、施設の予防保全型管理、施設の再整備などをしっかりと進めることが重要です。

 計画的・効率的な維持管理を進めていくため、AIや3Dデータの活用、ドローンやウェアラブルカメラなど新たな技術を積極的に取り入れていくことも必要だと思います。

—建設業における2024年問題の対応は重要です。

 建設業界では、2024年4月からの労働基準法の改正に伴う時間外労働の上限規制が適用されることになりました。地域の建設業の皆さんは、東京都の事業を進める上で欠かせない重要なパートナーです。

 建設DXの推進、契約書類の削減など、東京都はこれまで、2024年問題について国と軌を一にして取り組んできました。今後も建設業の生産性や魅力の向上、担い手の確保などの後押しをすることも大きな役割です。

 例えば、災害が発生した際の道路の復旧は東京都だけではできません。建設業の皆さんの協力があってこそなのです。

—後に局長のご趣味は。

 若い頃は山登りをしていましたが、最近は自転車に乗って家の周辺を走っています。

 週末の朝早く起きて、童心に戻った気持ちでペダルを漕いでいます。知らない所を走ると様々な発見もありますし、何より身体にも良いエクササイズになります。風を感じるのは気持ち良いですね。

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