自転車用ヘルメットの着用と
電動キックボードの安全利用
令和5年4月1日、道路交通法が改正され、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化された。また、同年7月1日に改正道路交通法が施行され、電動キックボード等が特定小型原動機付自転車「特定原付」として16歳以上は免許不要で公道を走れるようになった。新たなモビリティの出現によって新しくなった交通ルールを確認しよう。
自転車利用中のヘルメット着用を促進
—道路交通法が改正されて、令和5年4月1日から、自転車利用者のヘルメット着用が全世代で努力義務となりました。
山口 東京都では、平成25年7月1日から東京都自転車安全利用条例(※1)で努力義務としていましたが、法律でも努力義務化されましたので、区市町村や学校、図書館、高齢者施設などにリーフレットを配布するなど、より一層の普及啓発に取り組んでいるところです。
ヘルメット着用に際しては、品質や被り方などいくつか注意すべき点があります。例えば、自転車乗車用ヘルメットの安全基準には、国内の「SG(製品安全協会)」や「JCF(日本自転車競技連盟)」などのほか、欧州の「CE(EN1078)」、米国の「CPSC1203」などがあります。同じCEマークでもEN812(軽作業帽)は、耐衝撃性が低く、障害物に頭をぶつけるなど、静的な物体から着用者を保護するための性能に限定され、自転車転倒時における頭部保護の安全基準を満たさないので注意が必要です。
被り方も、自転車乗車用ヘルメットは必ずあごストラップをつけないといけません。自転車乗車用ヘルメットは、産業用ヘルメットと比べて、衝撃吸収性能、保護する範囲、あご紐の強度・着脱方法などの規格が異なります。
令和5年中の都内の交通事故全体に占める自転車関与事故の割合は約5割を占めます。また、自転車事故による死亡者32人のうち約6割が頭部損傷を主因として亡くなっています。自転車事故が多いことや、正しいヘルメットの装着方法についてわかりやすくまとめた「自転車利用中のヘルメット着用促進動画」を配信していますので、ぜひご覧ください。
また、自転車乗車用ヘルメットの購入助成事業を行っている区市町村のリストや、企業・団体が行っているヘルメット着用に向けた先駆的な取組も生活文化スポーツ局のHPで紹介していますので、参考にしていただければと思います。
東京都の自転車乗車中のヘルメット着用率は、都が改正道交法施行前に行ったインターネット調査(R5・2)では11・7%でしたが、令和5年度末に行った調査結果も間もなく発表予定です。
また、東京都教育委員会は、令和6年度から全ての都立学校において、自転車通学の際、必ずヘルメットの着用を求める方針を掲げており、これを機にヘルメット着用率が更に向上することを期待しています。
※1 正式名称は「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」
自転車乗車用ヘルメット普及啓発動画
東京都が実施している中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援
—令和5年7月1日に改正道路交通法が施行され、特定小型原動機付自転車、いわゆる「特定原付」として電動キックボードが16歳以上は免許不要で公道を走れるようになりました。新しいルールを教えていただけますか。
山口 年齢制限が16歳以上ということは一般原動機付自転車と同じです。原則として、車道もしくは自転車道を走行することになりますが、最高時速6㎞モードを設定できる車体に限り、最高時速表示灯を点滅させた上で、自転車が通行可能な歩道も走ることができます。
他には、自賠責保険(共済)に加入する、ナンバープレートをつける、飲酒運転や二人乗りはしない、曲がる時はウィンカーを出す、道端などに放置しない、努力義務ですがヘルメットを着用する、などのルールがあります。こちらも「『特定原付』電動キックボードの正しいルール」という約1分の動画で紹介しておりますので、視聴していただければと思います。
一方、免許不要のため、運転免許取得時のような交通ルールの学習が不十分な運転者も想定されることから、電動キックボードの安全利用を啓発するリーフレットを作成し、区市町村のナンバープレート交付窓口や学校に配布しております。
電動キックボードは、購入して乗る方だけでなく、シェアリングサービスを利用する方も多くいらっしゃいます。昨年度、都は、特定原付を扱う事業者団体(マイクロモビリティ推進協議会、一般社団法人日本電動モビリティ推進協会〈JEMPA〉)それぞれと協定を結びました。都の普及啓発活動への協力や、意見交換などを通じて、都と事業者団体が連携して特定原付の安全利用を推進していきます。
特定原付には、自転車型や四輪タイプのものもあります。電動キックボードをはじめとする特定原付は、手軽で便利な乗り物です。ルールを知って正しく安全に乗っていただければと思います。