誰もが「育業」しやすい社会を目指して

  • 写真提供:東京都

 10月1日に改正「育児・介護休業法」の一部が施行され、産後パパ育休制度がスタート。男性も含めた育休の取得推進に関する社会的な議論が高まっている。しかし、現状では男性の取得率は14%程度。女性の育児負担を軽減し、多くの人が子供を産み育てたいと思える社会に向けて、課題は多い。
 東京都は、育休の「休む」というイメージを払拭し、後ろめたさを感じることなく取得できる環境づくりを進めるため、育休の愛称「育業」を6月に発表した。都のアンケートでは、7割を超える人がこの「育業」を支持しているという。さらに、9月末には「育業」のロゴマークを発表し、企業・国など様々な主体と連携して育業を推進するキャンペーンを展開することで、育業しやすい社会への意識改革を進めていく。

育児休業の現状

 改正「育児・介護休業法」が段階的に施行され、令和4年4月から子供が生まれる労働者への意向確認が義務化。10月には産後パパ育休制度が開始するなど、法制度の面では、育休を取得しやすい環境整備が進んでいる。

 しかし、育休取得に躊躇する人は多く、男性の取得率は13・97%に留まっている。女性は85・1%だが、取得率の算出は、就業を継続する人が対象であり、第1子の出産を機に退職する女性は30・5%に上る。(厚労省「令和3年度雇用均等基本調査」、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」)

 都の調査では、男性が育休を取得する際の課題として、「代替要員の確保」が一番に挙げられている。そこで、都は、男性育休を推進する企業への助成金を大幅に拡充し、夫婦双方での育休取得を後押しする新たな助成金を創設するなど、企業の取組を支援している。

 一方で、「職場がそういう雰囲気でない」、「キャリア形成で不利になるのが心配」といった声も多いことから、男女を問わず、望む人誰もが育休を取得しやすい社会の機運を醸成することが重要である。

育休の愛称募集・愛称「育業」の発表

 令和3年12月19日に都が開催した「こどもスマイルムーブメント キックオフ・アクション」における出演者の議論の中で、「『育児休業』という名前が良くない」、「休んでいる、楽しているかのような印象を与える」という意見が出された。

 このことから、本年4月、都は、育児休業の「休む」というイメージを一新する愛称を募集し、8825件の応募の中から選ばれた愛称「育業」を6月に発表した。

 応募者からは、「育児は、未来を担う子供を育てるという業務であるという思いで応募した」や「『業』には苦労して成し遂げる事柄の意味もある。仕事と比較してどちらが偉い訳でもない。想像を遥かに超える幸せと苦労があり、子供から多くのことを学ぶ時期であることから『育業』とした」など、様々な思いが寄せられた。

 選考委員の杉浦太陽さんも「『育業』することによって育児の基礎を学べて、子供とのスキンシップがとれ、夫婦の絆を深めることが出来る」と話し、「育休から『育業』になったことで、『育業』することが当たり前という時代が来てほしい」とマインドチェンジの重要性を語った。

 都は愛称決定に合わせ、「育業」を応援する企業・団体を募集するほか、男性従業員の取得率が高い企業を「TOKYOパパ育業促進企業」として登録する制度を開始した。

「育業」ロゴマークの決定 「育業」推進キャンペーン

 8月に都が行ったアンケート調査では、育業を知っている人は38・9%、育業が愛称としてふさわしいと答えた人は73・5%であり、一定程度、育業の認知が進み、支持を得ていることが分かる。都は、「育業」の理念をさらに広く浸透させ、誰もが育業しやすい社会を目指す取組を始めた。「育業」のロゴマークを決定し、企業・国・インフルエンサーとのコラボにより、ロゴマークを活用した「育業」推進キャンペーンを展開する。ロゴマーク及びキャンペーンの内容は次のとおりである。

●育業ロゴマーク

 このロゴマークは、衝撃吸収力に優れたハニカム構造(六角形を組み合わせた形)がモチーフである。育業で職場を抜けても、赤ちゃんを守るように周囲のチームが形を保つことで育業を全体で支える世の中、中心の形が保たれることで安心して育業から復帰できる様子を表現している。  育業中の方や育業を推進する企業など、誰でも使用可能である。
 ※ロゴマークの利用方法はこちら。
https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/ikugyo/logo

●企業とコラボした育業応援プロジェクト

・「育業」川柳コンクール2022(第一生命保険㈱)

 第一生命が主催する「サラ川コンクール」のスピンオフとして「育業」をテーマとした川柳を募集
(専用の募集フォームから応募)
 募集期間=令和4年9月30日(金)~10月31日(月)
 賞品=優秀作品には、賞状と賞品を授与(知事賞1本、優秀賞4本)
 発表=令和5年1月
 ※詳細はこちら。
https://www.dai-ichi-life.co.jp/ikugyou/pdf/index_001.pdf

・たまひよ「♯我が家の育業ストーリー」投稿キャンペーン(㈱ベネッセコーポレーション)

 パパ・ママの育業体験談を募集(Instagram・Twitterへハッシュタグを付して投稿)
 募集期間=令和4年10月21日(金)~令和5年1月31日(火)
 審査員が選んだ作品6本をプロが漫画化し、たまひよONLINEで配信(入選作には賞品プレゼント)
 ※詳細はこちら。
https://st.benesse.ne.jp/lp/ikugyou/

・プレママ・プレパパレッスン+育業のすすめ(コンビ㈱)

 ベビー用品メーカーのコンビが実施しているプレママ・プレパパレッスンの中で、特別動画「育業のすすめ」により、育業の大切さを伝え、育児分担を話し合うきっかけづくりを行う。
 開催=令和4年11月~令和5年2月(約50回のレッスン予定)
 ※詳細はこちら。
https://www.combi.co.jp/topics/files/20220930__1.pdf

・テレビを活用した「育業」マインドチェンジ(東京メトロポリタンテレビジョン㈱)

 朝の「堀潤モーニングFLAG」で「育業」に取り組む企業を紹介。
 期間=令和4年11月~令和5年3月

●国とコラボした育業オンライン講座

 東京労働局と共同で、パパ・ママになる方、企業の担当者などを対象に「育業」に関する制度や給付(お金)、上手な育業方法などを解説するオンライン講座を動画で配信。
 公開=令和4年10月19日(水)

●インフルエンサーとコラボした育業の発信

・杉浦太陽さん(たぁちゃんネル)

 4人のお子さんの父親である杉浦太陽さんが育業に関する質問やお悩みを募集し、動画で答える。
 公開=令和4年12月(予定)

・青野慶久さん(サイボウズ㈱ 代表取締役社長)、石黒卓弥さん(㈱LayerX 人事・広報担当執行役員)(NewsPicks)

 自ら育業した経験を持つ二人が、キャリアと育児の両立の大切さやビジネスにおける育児サポートのメリットについて語る。
 公開=令和4年11月13日(日)(予定)

・QuizKnockメンバー(QuizKnock会議中【サブチャンネル】)

 クイズ動画で人気を博する「QuizKnock」のメンバーが育業クイズにチャレンジ。
 公開=令和4年12月(予定)

・育業に関する動画一覧

 各動画が公開されたら、HPで案内。
 ※詳細はこちら。
https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/ikugyo/movie

●育業応援企業・団体の募集

 この他、都では、育業の趣旨に賛同し、育業の推進に取り組む「育業応援企業・団体」を引き続き募集中。令和4年9月26日現在、84社の企業・団体が参加。
 ※詳細はこちら。
https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/

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