子供政策連携室長 山下聡氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は4月に立ち上がった子供政策連携室長の山下聡氏。子供施策に取り組む東京都の看板組織として内外からの注目を集めている。今後の抱負やこども未来会議などの取組について伺った。

子供の未来につながる取組に全力

子供政策連携室長 山下聡氏

こども未来会議の内容を反映

—子供政策連携室の紹介と室長の抱負をお願いします。

 子供や子育て家庭が抱える困難は、様々な要因が重なり合い多様な形で顕在化しています。

 コロナ禍により、こうした状況が深刻化し、影響が長く続くことが懸念されます。昨年、子供の最善の利益を最優先するという基本理念などを盛り込んだ「東京都こども基本条例」が制定されました。子供政策連携室は都の子供政策を総合的に推進するための組織として、今年4月に発足しました。

 大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である子供を「チルドレンファースト」の視点に立って、社会全体で守り育て、明るい未来を紡いでいく。こうした思いで私達が核になり、各局と連携し子供目線で新たな施策を展開するとともに、区市町村、民間企業などと多様な主体と連携し、従来の枠組みに捉われない先進的な取組に挑戦していきたいと思っています。

 新設の組織ですが、私たちがひとつ何か手を動かせば、それが子供の未来に繋がると信じ前に進んでいく、そして、庁内各局や区市町村、民間企業などから「子供のことについて相談してみよう」と思われる組織にしたいですね。

—こども未来会議での議論内容はどう都政に反映するのでしょうか。

 こども未来会議は、「子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会」の実現に向けて、海外等の先進事例も踏まえ、福祉、教育等の従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うことを目的に、令和2年9月に設置し、これまで計5回開催しています。

 各回、テーマを設定し、様々な分野の有識者等を幅広くプレゼンターとして招へいし、専門的見地から多角的に議論を展開してきました。議論を通じて浮き彫りになった課題は庁内各局で共有し、子供に寄り添った政策として反映しています。例えば、子供に楽しみながら都政の魅力を知ってもらう「東京都こどもホームページ」(ベータ版)を作成し、4月に公開しました。

 また、昨年度より「こども向け予算書」を財務局と連携して作成し、都の仕事とお金の使い道を分かりやすく解説した動画を公開しています。こうしたコンテンツを通じ、未来を担う子供たちに、東京の魅力や都政について考えるきっかけにしてもらいたいと願っています。

 今後も、こども未来会議における議論も踏まえ、政策分野の垣根を超えた先進的な取組を推進していきます。

育休愛称の募集などを実施

—こどもスマイルムーブメントのご紹介を。

 都は、社会全体で子供を大切にする気運を醸成していくため、昨年12月19日のキックオフ・アクションを皮切りに官民一体となった「こどもスマイルムーブメント」を展開しています。参画頂いている企業・団体数は1180となっています。

 今年度は、子供政策連携室の発足を契機に、ムーブメントをより大きくしていきます。さらに多くの企業や団体に加わって頂くため、発信力の高い取組を実施します。現在、有識者・経済団体・民間企業等からなる官民推進チームにおいて、多様なノウハウや斬新なアイデアを活かし、子供目線に立った様々なアクションや効果的な情報発信の具体化について議論・実践しています。

 都が率先して実施する象徴的なアクションとして、「育休愛称の募集」を始めとする育休取得促進に向けた取組を開始しました。さらに子供自身が関心を持つ内容を取材し番組制作を行う「こども記者」などのコア・アクションを実施していきます。  また、参画企業・団体の特性や強みを活かしたアクションを展開するとともに、ホームページ・SNSを通じて子供目線の取組を広く発信していきます。

—こどもホームページの作成では小学生へのアンケートなどを積極的に行っていますね。

 こどもホームページは、子供と都政をつなぐ新たな情報プラットフォームとなることを目指しています。作成にあたっては、子供が楽しみながら東京の魅力や都政への関心を高めてもらえるよう、子供の意見やアイデアを多く取り込んできました。

 ホームページは今年4月に公開し、先日まで、デザインや使い勝手などのご意見を募集していました。現在、ご意見も踏まえ、夏休み前のバージョンアップを目指し、作業を進めています。

—その他、PRしたいことはありますか。

 子供目線に立った新しい取組にチャレンジするのが、私たちの組織に課せられたミッションです。そのため、イノベーティブな仕事ができるよう、職場環境に工夫を凝らしています。

 例えば、執務室内に絵本や児童書を置いたり、組織の看板に相当するものを積み木で表現するなど、子供が来ても楽しめる柔らかな雰囲気を演出しています。ソファーやイスのように座れるクッションを置いたり、グリーンを至る所に配置するなど、リラックスしながら仕事ができる環境を整えました。

 「子供たちは何を求めているか」、「子供が安全で快適に暮らせるまちづくりをどう実現するか」など、自由な発想で考え、新しいサービスを実践して、東京に育ち・学ぶすべての子供たちの笑顔に溢れる都市を実現していきます。

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