政策企画局長 野間達也氏
東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は政策企画局の野間達也氏。4月に広報機能などをバージョンアップした局の今後の取組、電力のHTTなどについてお話を伺った。
「都民のために」の発想を
「伝わる広報」他を積極実施
—4月に政策企画局は機能強化しました。局長ご自身の抱負は。
東京2020大会の成果や新型コロナとの厳しい闘いなど、時代のニーズや状況変化に対応するため、2月に政策をバージョンアップした「『未来の東京』戦略 version up 2022」を策定しました。
これら未来を切り拓く取組を加速化するため、今回、戦略的でスピーディーな政策展開や、都の発信力の抜本的強化の視点から組織を再編し、知事のトップマネジメントを補佐する局の機能強化を図りました。私自身が先頭に立ち、新たに設置された子供政策連携室とも連携しながら、これらの機能を最大限発揮し、成長と成熟が両立した持続可能な都市・東京の実現に力を尽くしていきます。
—広報の強化が行われ、オリパラ局の一部業務も統合しました。目的と今後の取組は。
局長として特に力を入れたいことの一つが広報です。どんなに練り上げた施策でも、それが利用・活用されなければ意味がありません。これまで東京都の事業について、都民の理解が十分には得られていないことが課題でした。そのため、都民にしっかりと届く戦略的な広報が必要です。
現在、皆様と都がデジタルで直接つながる、新しいプラットフォーム「ZERO」を構築していますが、先行して、その入口となるポータルサイト「My TOKYO」を開設しました。これは情報をプッシュ型で届けるとともに、双方向コミュニケーションを実現する、都民に届く広報の取組です。今後も、発信力、リスクマネジメント、情報分析を強化し、「伝わる広報」と「都政への共感を獲得する広報」を実現していきます。
オリパラ局の業務の統合は、東京2020大会後の各種調整業務に対応することが目的です。大会を通じて得られた様々な取組の成果や、「サステナブル」や「共生社会」など、都民と共有した大切な価値を東京全体に広げ、都市のレガシーへと発展させていきます。
—「『未来の東京』戦略version up 2022」の主な特徴は。
都では昨年3月に公表した長期戦略である「未来の東京」戦略に基づいて様々な取組を推進していますが、今回バージョンアップを図った視点が大きく二つあります。一つ目は、「東京2020大会の成果を都市の発展へつなげる視点」です。大会を通じて生み出されたレガシーを発展させ、多様性と包摂性に溢れた「未来の東京」を創り上げていきます。二つ目は「時代のニーズや状況変化に迅速に対応する視点」です。新型コロナの長期化が人々の暮らしや価値観に与える影響や、世界の都市間競争の激化、子供の目線からの政策展開の必要性といった観点から、バージョンアップを図り、明るい未来の東京を切り拓く取組を加速します。
電力ひっ迫で「HTT」を発信
—「シン・トセイ2」の主な特徴は。
昨年3月に策定した「シン・トセイ」戦略をさらに推し進めるため、「シン・トセイ2」では、2025年度「デジタルガバメント・都庁」の基盤構築に向け、更なる取組の加速化を図り都政のQOS向上の改革を前に進めます。主な特徴は、ユーザーとの対話の徹底、QOSの数値化、変革のスピードアップなど改革実践の五つのスタンスを示していることです。
改革の突破口となる「コア・プロジェクト」の加速例は、未来型オフィスの展開拡大(2022年度新たに15部門へ展開)、行政手続の原則デジタル化(2023年度までに全行政手続の7割をデジタル化)などです。「各局リーディング・プロジェクト」は、新たに17のプロジェクトを追加しました。
こうした実践の積み重ねなどにより「シン・トセイ」の理念を職員一人ひとりに浸透させ、都民から信頼される都政を創り上げていきます。
—都では新たに「HTT」というキーワードを掲げましたね。
東京では、今年3月に出された東京電力管内の需給ひっ迫警報に続き、この夏や冬も電力需給のひっ迫が予想されています。
そこで、4月22日の定例会見で小池知事は、電力を「減らす」「創る」「蓄める」の頭文字から「HTT」というキーワードを都民や事業者に向けて発信しました。
電力ひっ迫への対応は東京全体で取り組んでいくべき喫緊の課題ですので、節電に向け都民や事業者の皆様のご協力をお願いします。
—最後に局長から職員へメッセージがあれば。
政策企画局の役割は、都庁が一丸となって仕事をするために各局を支え、時には引っ張っていくことだと考えます。特に、コロナ禍のような常に状況が変わる中でも都民ニーズをキャッチし、先回りして政策展開する。そして、状況に応じてやることを見つけて課題に対応しなければなりません。
そのために「都民のためになることは何でもする」という発想で物事を考える姿勢を職員にもっと根付かせていきたいと思います。この発想は先輩から教えられたものですが、東京都は当然、都民のための仕事をしています。それはどの局でも同じです。都民のためになることを、どの局にいようとも私たちは考えなくてはなりません。政策企画局も然りです。