生活文化局長 武市玲子氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが説明する「局長に聞く」。今回は生活文化局長の武市玲子氏。男女平等参画推進やボランティア精神の定着に向けた取組等についてお話を伺った。

都民の豊かな生活を後押し

生活文化局長 武市玲子氏

男女平等参画の意識改革が重要

—局長に就任しての抱負をお願いします。

 都庁人生のうち約半分、生活文化局に関わる仕事をしてきました。当局は広報広聴、地域活動支援、男女平等参画、消費生活対策の推進、私立学校及び文化の振興などバラエティに富んだ非常に幅広い分野を担当しています。このため、様々な仕事を経験することができ、私自身も成長させてもらいました。

 職員には、都民が豊かで安全安心な生活をおくるお手伝いができる局、都民のくらしにプラスαができる局と言っています。コロナ禍で都民のくらしが変化した今、当局の役割の重要性は増していると感じています。とてもやりがいのある仕事であり、恩返しも含め、職員とともに頑張りたいと思います。

—男女平等参画推進総合計画が今年度で終了します。これまでの成果と今後の取組は。

 男女平等参画推進総合計画は、男女平等参画の促進に関する都の施策及び都民・事業者の取組を総合的かつ計画的に推進するための行動計画です。

 男女平等参画社会を実現するためには、女性の活躍推進の観点が非常に重要です。都では、待機児童対策や女性の管理的地位への登用促進、就業継続やキャリア形成の支援、起業を目指す女性の後押しなど、様々な施策に取り組んできました。都の審議会等における女性委員の任用率も、令和3年4月には35・8%へと上昇しました。

 この5年間で女性の参画は徐々に進んできましたが、依然として社会全体が変わるまでには至っていません。背景には、働き方・暮らし方の根底に、固定的な性別役割分担意識や性差に関する固定観念、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)などがあることがあげられます。

 今年度末に改定する次期総合計画では、働く場における女性の活躍推進に向け、企業の取組を加速させるとともに、家庭、職場など様々な場面での男女平等参画にむけた意識改革、コロナ禍で表出、顕在化した女性をめぐる様々な課題等に対応するための施策を盛り込んでいます。

 今後も、男女が対等な立場であらゆる活動に共に参画できるよう、取り組んでいきます。

「東京文化戦略2030」を策定

—コロナ禍において芸術文化の重要性が改めて認識されました。また、昨年は東京2020大会に向け取り組んできた文化プログラムも終了しました。今後の文化政策の展開は。

 新型コロナウイルス感染拡大による活動自粛等の影響により、東京の芸術文化は大変な打撃を受けました。都は「アートにエールを!東京プロジェクト」を実施し、コロナ禍にあっても文化の灯を絶やさないよう、活動を自粛せざるを得ないアーティストやスタッフ等への支援を行いました。コロナ禍ではオンラインでの発表や鑑賞など人々の芸術文化の楽しみ方にも変化が生まれました。

 また都は、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘打って、リオ大会以降、多彩な文化プログラムを展開してきました。コロナ禍で一部のプログラムを中止するなどの影響もありましたが、様々な工夫を凝らしながらスペシャル13など斬新な企画も実現し、16万件を超えるプログラムに3900万人の方にご参加いただきました。

 今後は、文化プログラムの成果やコロナ禍で得た経験・知見を都市のレガシーとして発展させ、誰もがどこでも気軽に芸術文化を楽しめる取組の強化や新技術による新たな芸術文化の楽しみ方の拡大などに取り組みます。

 こうした取組等を盛り込んだ2022年度から2030年度までの長期計画として、「東京文化戦略2030」を今年度末に策定し、「芸術文化で躍動する都市東京」を目指していきたいです。

—東京2020大会のレガシーとして、都はボランティア文化の定着を推進しています。

 東京2020大会については、新型コロナウイルス感染症の影響で原則無観客の開催となり、大会ボランティアの活動も大きな制約を受けました。しかし、そうした状況においても、多くの大会ボランティアが、競技の補助や会場・選手村の運営、関係者の案内などで活躍してくれました。

 都と東京都つながり創生財団は、昨年11月、大会ボランティアをはじめとする人々とボランティアに関する様々な情報をつなげるポータルサイト「東京ボランティアレガシーネットワーク」(VLN)をオープンしました。

 VLNは「選べる」「学べる」「交流できる」を特徴としたサイトで、オープンから2か月半で8千人以上ものボランティア希望者が登録してくれています。VLNを通じてボランティアを募集した団体からは「コロナ禍においてもボランティアとつながることができてよかった」との喜びの声も頂いています。

 VLNが一定の成果を収めているのは、ボランティア活動や社会課題に関心のある人々の多くが、今の社会状況において何か役に立ちたい、意義のある活動をしたい、と求めているからだと思います。

 今後は、このVLNをさらに充実させ、より多くの都民をボランティア活動につなげるとともに、ボランティアの皆さんのモチベーション向上や活動の継続・拡大に向けたイベントも開催します。こうした取組を通じて、レガシーとしてのボランティア文化の定着を実現します。

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