沿線の住まい&暮らしを
他社とも連携してトータル無料サポート
東急株式会社

  • 取材:種藤 潤

新型コロナウイルスの感染拡大により、ライフスタイルに対する価値観は大きく変わり、住まいや暮らしの見直しを検討する人が増加しているという。ただ、住宅や生活サービス、地域性などさまざまな情報を収集・分析し、最適な答えを導き出すのは容易ではない。そんな時に役立つ、住まいと暮らしに関する相談に無料で対応するサービスを、東急株式会社は10年以上前からはじめていた。

「住まいと暮らしのコンシェルジュ」のロゴマーク(提供:東急)

沿線地域の多種多様な住まいと暮らしの相談に対応

 ある時の相談。都内在住の男性が、財産相続を見据えた空き家の今後の活用方法に迷い、窓口を訪れた。自宅は売却かリフォームかを検討し、結果、リフォームすることに。その顧客のリフォームのニーズを詳しく聞き、適切なリフォーム会社を紹介した。同時に、税務対策にも迷っていることがわかり、税理士も紹介した。

 またある時の相談。30代の家族で、コロナ禍を機に住み替えを検討していた。在宅勤務が増えたことにより、テレワーク用のスペースを備えた住宅に住み替えようというのだ。ただ、希望していたエリアの分譲物件は近年価格が高騰。賃貸も含めた他のエリアの住宅情報を提供した。

 このような「住まい」と「暮らし」に関わる相談を無料で受けている、大井町駅直結の商業施設内「エトモ大井町店」店長の上田朗さんは、その姿を「自分たちの業務は行政窓口に似ているなと感じています」と話し、続けて「店舗スタッフ一同そのくらい地域に貢献したいという気持ちを持ってサービスの提供にあたっています」と語った。

取材に応じてくれた同社沿線開発事業部事業推進グループコンシェルジュ担当の青木悠輔さん(左)、「住まいと暮らしのコンシェルジュ」エトモ大井町店店長の上田朗さん(右)

お客様に合った解決策を提案 200社超の提携会社を紹介

 「住まいと暮らしのコンシェルジュ」サービスは、東急株式会社が2009年より開始した、その名の通り「住まい」と「暮らし」に関するあらゆる相談に対し、ワンストップで対応する無料相談窓口だ。第一号店の武蔵小杉店を皮切りに、2021年12月現在、東京エリアに4店舗、神奈川エリアに3店舗、合計7店舗を展開する。

 店舗は主に東急線の駅前または直結の施設内に構えている。店内には宅地建物取引士や建築士など、「住まい」「暮らし」の知識と経験がある有資格者が常駐し、東急線沿線の豊富な情報をもとに、中立的な立場で相談に応じた上で、約200社の提携会社の中からお客様に合った会社を紹介する。この提携会社には、東急グループ以外の企業も多く含まれている。

 「弊社は、鉄道、不動産、生活サービスを中核事業として歩んできましたが、より多くの人に沿線に暮らしてもらうためには、自社グループ内のサービスに限らず、中立的な立場で相談を受け、少しでも沿線での暮らしが快適になるお手伝いをさせていただくことで、東急線沿線に愛着を持ってもらい、より沿線に永く暮らしていただけると考えています」

 この事業を本社の立場からサポートする、沿線開発事業部事業推進グループコンシェルジュ担当の青木悠輔さんは語る。

リモートカウンターでは、画面を通したオンライン相談が可能

「住まいと暮らしのコンシェルジュ」エトモ大井町店内の様子

エリアに応じたニーズにも対応 深刻な空き家問題にも注力

 新型コロナウイルスの影響を考慮して、2021年4月よりオンライン相談窓口を開設。感染が拡大した8月には多くの相談があったが、感染数の減少とともに来店による相談が再び増加しているという。

 「やはり、相談者は画面を通してではなく対面での相談を求めている傾向が見受けられるので、リアル店舗での接客は重要だと改めて感じています。また、店舗ごとに問い合わせ内容には違いがあり、分譲価格が上昇傾向にあるエリアは売却が多く、別のエリアは建て替え相談が目立つ傾向にあるようです。そうした地域性を感じられることもリアル店舗の良さだと思っています」(上田さん)

 特に、近年重大な社会問題となっている「空き家の利活用」に着目している。実際に住まいと暮らしコンシェルジュでは、2016年から東京都と「東京都相続空家等の利活用円滑化モデル事業」「空家利活用等普及啓発・相談事業」を、2021年8月からは品川区と「品川区空き家専門相談窓口事業」を行っている。

 「以前から行政の方々はこの問題に取り組んでいるのですが、補助金などが出ることを知らない住民の方が多いのが実情です。そこで我々は『空き家セミナー』などを実施し、今後の空き家の利活用について知る機会を提供しています」(青木さん)

同サービスを活用した「品川区空き家専門相談窓口事業」協定締結の様子。左が品川区都市環境部中村敏明部長、右が同社沿線開発事業部西村隆徳事業部長(提供:東急)

お客様の声を直接聞ける貴重な場として

 本事業を開始して10年以上。その間、東急線沿線に限らず、都内を取り巻く「住まい」と「暮らし」の環境は変化してきた。前出の空き家問題に加え、少子高齢化、そして新型コロナウイルス感染拡大による「住まい」「暮らし」に対する価値観の変化。それらに伴い、提携先企業の「住まい」「暮らし」のサービスも多様化しているという。なかでも大切なのは、「お客様のニーズを引き出すこと」だと上田さんは語る。

 「専門知識や最新情報を持つことは大前提ですが、店舗でお客様と接する際、一番大事なのは『聞く力』です。スタッフは入社後、その能力をトレーニングします。そして、しっかりとお悩みを聞き、対話をすることで、お客様は我々を信頼し、本音を打ち明けてくれるのです」(上田さん)

 そして、こうしたサービスを提供できるのは、東急という企業への信頼感があってこそだと、青木さんは付け加える。

 「幸いなことに、弊社が鉄道・不動産・生活サービスといった、住まいと暮らしをトータルで提供し続けてきたことが、沿線の方々の信頼感を生み、多くの方が窓口を利用してくれるのだと感じます。我々としても、お客様の声を直に聞ける貴重な場として、今後もこのサービスを大切にするとともに、東急グループの顧客接点機能として強化していきたいと考えています」

情報をお寄せください

NEWS TOKYOでは、あなたの街のイベントや情報を募集しております。お気軽に編集部宛リリースをお送りください。皆様からの情報をお待ちしております。