病院経営本部長 西山智之 氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は病院経営本部長の西山智之氏。新型コロナウイルス感染症における取り組み、都立病院及び公社病院の地方独立行政法人化についてお話を伺った。(このインタビューは7月8日に実施された)

医療の面から都民をサポート

病院経営本部長 西山智之 氏

コロナ患者受入で2千床を確保

—本部長に就任しての抱負は。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する局面で今年4月に病院経営本部長に就任しました。

 病院経営本部は、副参事としてPFI事業を担当して以来15年ぶり3回目の着任となりますが、以前に一緒に仕事をしたことがある同僚や先輩がいるのでとても心強く思っています。

 都立・公社病院の最前線では、多くの制約がある中でも様々な工夫を行ってコロナ患者の対応にあたっており、本当に頭が下がる思いです。再び都内に緊急事態宣言が発令され、感染者数の増加が続いていますが、現場の病院や福祉保健局などと連携し、対応に万全を期していきます。

 また、都立・公社病院の地方独立行政法人化も着実に進めていく必要があります。経営形態を変えて終わりではなく、そこから先が大事であると考えています。

 施設整備など他にも多くの課題を抱えていますが、病院現場と本部が知恵を出し合いながら、一つひとつ課題を解決し、この難局を乗り切りたいと思います。

—新型コロナウイルス対策では病床の確保が課題です。

 新型コロナウイルスについては、病院経営本部の最優先課題として取り組んでいます。

 都立・公社病院では、新型コロナウイルス感染症の国内流行以降、1年半にわたり、各病院の専門性・特色を活かしながら、全病院でコロナ患者を受け入れ、都民の皆様に必要な医療を提供しています。

 とりわけ、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、中等症以下の患者を速やかに受け入れていくため、旧都立府中療育センターの施設を改修し、昨年12月から専用医療施設としてコロナ患者の受入を行っています。

 また、都立広尾病院、公社荏原病院・豊島病院の3病院につきまして、本年1月よりコロナ対応に特化した重点医療機関とし、軽症から重症まで幅広い患者を受け入れております。

 本年4月には都立・公社病院で最大確保病床2000床を確保し、他の医療機関で対応が困難な認知症や精神疾患等の合併症患者を積極的に受け入れています。さらに、ワクチンの大規模接種会場に医師を派遣するなど、新型コロナウイルス感染防止対策に全力で取り組んでいます。

独法化後も行政的医療を確実に提供

—都立・公社病院の地方独立行政法人化の意義・メリットは何でしょうか。誤解されている面が多いと思いますが。

 都立・公社病院の地方独立行政法人化は、超高齢社会の本格化など医療環境が大きく変化していく中でも、都民ニーズに柔軟・迅速に対応することで、行政的医療等の役割を将来にわたって果たし続けるために行うものです。行政的医療を確実に提供することは、都立病院の重要な役割であり、独法へ移行しても変わることはありません。

 また、現在の経営形態では、自治体としてのルールが適用され、患者の増加や医療の高度化など、医療ニーズの変化に応じたタイムリーな人材確保の面や、設備整備の面で機動的な対応が難しいという課題があります。

 地方独立行政法人では、現在の都立病院と同様に、行政的医療を続けるための都の支援や関与の仕組みがあるとともに、現場のニーズに合わせて働きやすい勤務制度を作ることで広く必要な医療人材を確保するなど、都民の皆さんにより充実した医療を提供できる体制づくりが可能となります。

 こうした独法のメリットをいかし、これまで以上に医療やサービスの質の向上を図っていきます。

—その他、病院経営本部がPRしたいことがあればお願いします。

 病院経営本部では、超高齢社会を迎え、今後、医療ニーズがますます増加することが見込まれる中、将来にわたり安定的に医療を提供していくため、都立・公社病院の再編整備等を進めています。

 具体的には、多摩メディカル・キャンパス内において、老朽化している神経病院を改築し、東京の難病医療の拠点となる「難病医療センター(仮称)」を整備するとともに、多摩総合医療センターの一部となる「外来がん検査・治療センター(仮称)」を整備し、がんの早期発見、早期治療につなげていきます。

 災害医療、島しょ医療、救急医療などの拠点を担う広尾病院は、行政的医療の安定的提供や、地域医療への貢献、基幹災害拠点病院としての機能強化に向けて、現地建替えによる整備を計画しています。現在、整備に向けた詳細な検討を進めているところです。

 北多摩北部医療圏の地域医療において重要な役割を果たしている多摩北部医療センターでは、施設の老朽化が進んでいることから、現在、地域の医療関係者や自治体を委員とした検討委員会を開催

し、改築に向けて新病院の医療機能の検討を行っています。地域ニーズを踏まえた質の高い医療を提供できるよう改築に関する基本構想をとりまとめていきます。

 今後も、都民の安全・安心を医療の面から支え続けられるよう、こうした都立・公社病院の整備等を着実に進めてまいります。

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