政策企画局長 中嶋正宏 氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行っている事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は政策企画局長の中嶋正宏氏。「『未来の東京』戦略」への意気込み、子供施策への取組などについてお話を伺った。

明るい未来の東京の実現に向けて

政策企画局長 中嶋正宏 氏

DX通じ都政のQOSを向上

—「『未来の東京』戦略」がまとまりました。内容と今後の展開を伺います。

 依然として、新型コロナウイルス感染症との厳しい闘いの只中にあります。コロナ禍で浮き彫りとなった課題の根源まで踏み込んだ「構造改革」の推進、未来に向けた復興を目指す「サステナブル・リカバリー」の実現、この2つを基軸に、2030年に向けた「戦略」や、戦略実行のための「推進プロジェクト」などを盛り込んだ、都政の新たな羅針盤となる「『未来の東京』戦略」を策定しました。

 「『未来の東京』戦略」では、ベイエリアが持つポテンシャルを活かし、「自然」と「便利」が融合した都市モデルを創出する取組や、グリーンファイナンスマーケットの新設などアジアで一番の国際金融都市を目指す取組、「ゼロエミッション東京」戦略のバージョンアップ等、都市間競争力を高める政策を展開します。加えて、デジタルデバイド対策など、Chōju東京の実現に向けた取組や、リアルとバーチャルのハイブリッドによる新たな居場所づくり、世界一の美食都市のための戦略的な取組、人中心の歩きやすいまちづくりなど、新しい日常を実現するにふさわしい踏み込んだ政策を、大胆に展開していきます。

 「『未来の東京』戦略」は、実践・実装してこそ意味があります。そのためには、都政自体も、まずは隗より始めよで、大きく変貌を遂げないといけません。そこで、都政の構造改革を進めるための実行戦略を「シン・トセイ 都政の構造改革QOSアップグレード戦略」として策定しました。

 DXの推進をてことして、新型コロナ対策の最前線に立つ保健所のデジタル化や、ペーパーレスなどの5つのレスの徹底、シビックテックとの協働などに短期集中で取り組み、都政のQOSを飛躍的に向上させ、都民の生活の質を向上させます。

—都は今後、子供施策に取り組みます。こども未来会議の果たす役割、今後の展開は。

 コロナ禍で子供と子育て家庭が大きな影響を受けている今だからこそ、東京に暮らす子供と子育て家庭を社会全体で支え、子供を大切にすることを最優先とする「チルドレンファーストの社会」の実現に向けて総力をあげる必要があります。

 「『未来の東京』戦略」では、その第一の戦略として「子供の笑顔のための戦略」を掲げ、幅広い政策を総合的に推進します。

 戦略の中核を担い、子供政策をリードすることを目的に、従来の枠組みにとらわれることなく、専門的見地から、多角的に議論する「こども未来会議」を昨年度、新たに立ち上げました。

 議論を通じて浮き彫りになった課題を庁内各局で共有するとともに、組織横断のチームにおいて、子供に寄り添った政策として反映させるなど、全庁を挙げて、総合的な子供政策に取り組みます。

 また、今年度は子供が楽しみながら、東京の魅力や都政に接することができる新たな情報プラットフォームとして、子供向けホームぺージを立ち上げます。

 これらの取組を通じて、子供政策をバージョンアップさせ、子供が笑顔でいきいきと活躍できる東京の実現に向け、全力で取り組みます。

コロナ禍の危機を乗り越えて

—全国との共存共栄の取組は。

 東京と全国各地が共に発展するには、それぞれの持つ魅力を高め、互いに協力し合うことで、共に栄え、成長する「共存共栄」が重要です。

 都はこれまで、全国各地と連携した取組を展開しており、今年の4月には、新たに自治体同士が連携施策の好事例などを幅広く紹介するポータルサイトを開設しました。今後、各自治体とも協力して順次サイトの内容を充実させ、全国で新たな連携事業を生み出すためのハブとしたいと考えています。

 また、昨年立ち上げた東京・埼玉連携会議では、防災・ICT・都市づくりの3つの部会で、都県の職員同士がオンライン会議等で意見交換や情報共有を重ねています。その成果として、5月から、東京都と埼玉県がそれぞれのテレワーク環境を活かし、職員がサテライトオフィスを相互に利用する取組を開始します。

 我々自治体職員が率先してテレワークを進めることは、民間企業の更なる取組を促すとともに、ライフ・ワーク・バランスの充実、広域災害発生時における活用など、高い事業効果が期待できます。そのため、九都県市首脳会議でも共同で取り組むことを提案しました。引き続き、全国各地との連携を深め、東京と日本全体の持続的発展につなげます。

—局長の抱負や職員へのメッセージがあれば。

 現状、コロナ禍のなかで、社会、日本、東京は非常に厳しい状況です。何としてもこの危機を乗り越え、東京2020大会とその先を見据え、「『未来の東京』戦略」で掲げた、「成長」と「成熟」が両立した明るい未来の東京の実現に向け、邁進してまいります。

 局職員の皆さんには、知事のトップマネジメントを補佐する視点を持ち、東京の未来を切り拓いていくために、汗をかき、知恵を出していただき、自信と誇りと責任をもって仕事を進めてほしいです。

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