ウィズコロナでさらに注目が高まる
人にも環境にも優しい災害用備蓄品
大塚包装工業株式会社
大塚包装工業が企画製造販売する災害用備蓄品シリーズが好調だ。災害時に役立つ、ありそうでなかった機能を盛り込み、自治体の災害対策を中心に、他の用途でも幅広く活用されているという。ウィズコロナの現在は衛生面への配慮も評価され、さらなるニーズの高まりが期待される。
本業の技術と異業種目線で 新たな災害用備蓄品を生み出す
簡易トイレは、災害時に備えておきたい防災アイテムの一つだ。トイレとしての機能自体は研究開発が進んでいるものの、近年は台風、豪雨等の水害が多いにもかかわらず、意外にも保管時の「防水」は疎かになっているという。また、避難所等で使用するパーテーションなどの段ボール製品も、人が密集する環境で使用するための衛生面に配慮した「抗菌」「抗ウイルス」機能を持つ商品は少ない。
大塚包装工業が製造販売する災害用備蓄品シリーズ『トワレス』は、同社が包装という本業で培ってきた技術を生かし、簡易トイレの「防水」、段ボール製品の「抗菌」「抗ウイルス」機能を実現した。加えて、異業種だからこそ気づいた災害時に必要な機能を盛り込み、シリーズ発売からわずか1年半ほどで高い評価を得て、着実に売り上げを伸ばしているという。
組み立て簡単で強度十分 防臭、抗菌、防水包装を徹底
『トワレス』シリーズは、2タイプの簡易トイレと段ボール製ベッド、パーテーションで構成される。
簡易トイレには「エチケットタイプ」と「スマートタイプ」があり、前者は30秒で組み立てが可能、ふた付きで中身が見えない独自構造を持ち、防汚加工も徹底、アース製薬と共同開発した抗菌剤配合消臭凝固剤により、排出物を素早く凝固し、高い防臭効果を発揮する。その凝固剤は1つにつき6回まで使用可能。5つ付属しているため、最大30回使用できるのだ。本体は段ボール素材のみで構成、使用後は折り畳んで廃棄でき、環境にも優しい。それでいて独自の二重構造により250㎏の負荷にも耐えられる。組み立て前は一般家庭でも備蓄しやすいサイズで、防水包装となっており、豪雨などで室内に浸水しても安心だ。
後者はよりコンパクトで組み立てやすく、携帯しやすいサイズに設計。違いは1回1交換仕様であること、フタがないこと、耐荷重200㎏であることなどだが、機能はほぼ同じだ。
段ボール製ベッドは、避難所などで使用できる組み立て式で、分離すればイスや机としても使える3WAY仕様。ベッドとしては最大1500㎏、イスでは250㎏の荷重に耐えられる。段ボールは抗菌または抗ウイルス加工を選べ、アース製薬と共同開発した天然由来の防ダニ、消臭効果のシートも付属。組み立てにはテープ類不要で、約10分で完成する。
段ボール製パーテーションも抗菌または抗ウイルス加工が選べ、組み立てにはテープ類不要、所要時間は約5分だ。完成サイズは調整可能で、前出の簡易トイレやベッドとも組み合わせて使用することができる。
なおベッド、パーテーションどちらも段ボールのみで構成されているので、トイレ同様環境に負荷をかけず廃棄することができる。
安心安全、独自発想と技術で 環境にも優しい防災製品を
『トワレス』シリーズは、見方を変えれば、包装資材や段ボール製品、さらには製菓や医療パッケージを事業者向けに企画開発してきた、大塚包装工業の技術を結集したものである。開発担当者の北浦浩さんは語る。
「段ボール製品自体は我々の得意分野ですが、トイレの中身が見えない構造や、組み立てやすい仕組みなどは、お菓子用の組み立てパッケージを製造してきた弊社だからこそ、開発することができたと思います」
大塚グループ全体が災害に対する取り組みをスタートさせたこと、またSDGs(持続可能な社会のために国連が定めた17の目標)に向けた活動にも取り組み始めたことから、2017年に新規事業開発がスタート。東日本大震災や熊本地震等の災害現場の情報を独自に収集分析した結果、トイレの問題が深刻であることがわかり、製品化に取り組み始めた。
「災害用トイレはすでにありましたが、組み立てや排出物の処理に手間がかかったり、使用されている素材も環境負荷のあるものも含まれていたりと、改善の余地があると感じました。そこで我々は『①安心・安全②独自な発想と技術③環境に優しい紙製品』というコンセプトを掲げ、『人々を永遠(とわ)に救護(レスキュー)する=トワレス』の思いを込めて、開発を本格化させました」
2020年1月、シリーズ第一弾として「簡易トイレ エチケットタイプ」の発売が開始。その後、よりコンパクトなサイズをというニーズがあり、「スマートタイプ」を発売。さらに本業の段ボール技術を応用できる製品として、ベッド、パーテーションが加わった。
抗菌、抗ウイルス機能で これからの東京防災に
現在は代理店を通じた販売と、消費者への直接オンライン販売を実施。災害対策に力を入れる自治体や組織を中心に導入が進むが、一方で、特に簡易トイレは想定外の需要が生まれているという。
「工事現場での仮設トイレのかわりや、最近増えているキャンプでの携帯用トイレ、また家庭での水道工事の間の臨時トイレとして使用されている事例もあります。さらには介護施設や病院からも問い合わせがきています」
ベッドやパーテーション製品に関しては2020年12月の発売以降、新型コロナウイルス感染拡大により、災害時の避難所等での抗菌、抗ウイルス対策が強化された影響で、注目が高まっている。特に東京においてはその機能性が評価されると、北浦さんは見込む。
「人口の多い東京の避難所は、密集度が高くなり、抗菌、抗ウイルス対応はより重要になると思います。すでに関係者の皆さんは対策を進めていると思いますが、弊社の製品もぜひ検討していただきたいです」
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