第79回 たまにはパスタの話をしてみます ”パスティーナ”
「イタリア人は毎日、毎食パスタを食べているの?」。パスタはイタリアの代表的な料理ですが、さすがにイタリアでも、1日3食パスタを食べている人は、なかなかいません。昼か夜の1日1回パスタを食べるという人が多いです。
日本ではパスタというと、スパゲッティーなどのロングパスタを思い浮かべがちですが、イタリア国内のパスタ消費の約6割は、短い形状のショートパスタだそうです。星の数ほど存在するパスタの種類。地域性が強く、名称や形状が若干異なったり、生産者による独自の名称があったりと、その正確な数を出すことは不可能だといわれており、ごく一般的な形状だけでも、軽く300種類はあります。
多くの種類が存在する理由のひとつに、パスタとソースとの関係があります。パスタは、たとえ同じ生産者の同じ粉で製造されていても、その厚みや形状の違いによって、口内での味の感じ方が異なります。結果、このソースにはこの形状のパスタというお決まりが存在することになります。例えば、日本でもポピュラーな「アマトリチャーナ」に合わせるのは、表面に縞模様の溝がある筒状のショートパスタ「リガトーニ」。もちろん好みもありますが、ほとんどの場合、ソースには選ばれるパスタが、法則のように決まっています。
冬には、「ミネストラ」と呼ばれる豆や野菜のスープに、「パスティーナ」と呼ばれる類のパスタを合わせます。小さなパスタを意味するパスティーナ(イタリア語は、名詞に接尾語の一種、指小辞(ししょうじ)のイーノ、イーナを付けると、小さいという意味が加わります)。星やリング型、はたまた米の形など、パスティーナの形状もさまざま。
そしてイタリア人のパスタのアルデンテへのこだわりは、パスティーナのような小さなパスタにも。必ず別鍋で湯を沸かし、適度な塩を加え、ちょうど良いアルデンテ加減に別茹でします。スープの中でパスタを加熱しないことで、スープの味も濁らず、より美味しく食べられるという、パスタへの強いこだわりを感じます。