新型コロナ禍に思う

  • 記事:平田 邦彦

PCR値。そしてアフターコロナを考えよう

 国も都も毎日のようにPCR検査の結果、判明した陽性者の数値を発表している。

 しかし本当に知るべきは検体数との対比で、罹患者がどのように推移しているかを知ることが大切なのではないだろうか。新型コロナウイルス発生の当初に比べて検査能力も向上し、検体数は大幅に増えているが、検体数が増えれば罹患者数は増えるのは当然であろう。

 その数値を単純に比較して、一喜一憂するよりも、検体数を明らかにしてもらい、罹患率が分かる発表の方が望ましいのではとの疑問を否定できない。

 専門家の言によるとPCRの信頼度は65%程度で、検査時の結果が陰性だったとしても、一歩外に出て罹患する危険を回避することはできないと言う。その言葉を聞けば、この数値をどう見れば良いのか素人目にはわからない。

 幸い善良なる都民の多くは、マスク着用、手洗い、三密の回避なる指導要請を受け入れ、唯々諾々と従っているが、それでも不心得にこの指導要請を軽んじ、クラスターの発生を見てしまう事例もある。

 浸透している対策と言いたいところだが、意識としてコロナ封じ込めに自分が何をなすべきかが理解されていないのだ。

 これまでに発生したインフルエンザに比して、圧倒的に死亡者が少ないことに安堵するが、まだまだ不明の点が多く、油断は許されない。依然として特効薬もワクチンも開発されていない。

 それらは早晩完成され承認待ちだとの話もあるが、副作用等の解明を待つなどまだ時日を要するのは明らかだ。少しでも早く安心して暮らせる元の生活を取り戻したいものだ。

 さてその一方で、コロナは在宅勤務なる新たな就業形態を生んで、職場にも家庭にも大きな変革を生み出すこととなった。

 PC一つあれば就業場所を選ばない職種にあっては、父親が毎日家にいることによって、子供は喜んでも、主婦はこれまでと異なり、三食用意するために家事労働は重くなり、新たなストレスを生み出している。

 職場はフリーアドレス・オフィスが珍しくなくなり、社員総数分のスペースが不必要と職場面積の縮小を図る企業も出てきた。

 東京一極集中を嫌って、地方に分散する企業もあれば、月に数回の出社なら、通勤地獄を避けて自然環境豊かで地価の安い地方に住宅そのものを移す動きもある。

 こうした変化はまだまだ小さなものでしかないが、大きな社会改革の萌芽として考える必要がある。

 菅内閣の誕生は行政改革を推し進め、スリム化を果してゆくこととなろうが、都においてもこれに先んじてそれらへの対応を真剣に考え対応していくことが求められている。

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