知事提出27議案を可決

  • 記事:遠藤 直彦

 9月18日に開会した都議会第3回定例会は8日、新型コロナウイルス感染症の緊急対策などを盛り込んだ約3400億円の補正予算をはじめ、知事提出の全27議案を可決し閉会した。7月の知事選後初となる定例会、再選を果たした小池知事は所信表明で、行政手続のデジタル化などを進めることを表明、公約に掲げた「東京大改革2・0」の推進に全力で取り組む姿勢を強調した。

第3回定例会開会

 9月29日には各党による代表質問が行われ、コロナ対策、行政のデジタル化、財政運営、来年に延期された五輪大会などについて都側を質した。

 質問に立ったのは増子ひろき氏(都民ファ)、山﨑一輝氏(自民)、中嶋義雄氏(公明)、大山とも子氏(共産)、宮瀬英治氏(民主)の5氏。

〈新型コロナウイルス感染症対策〉

 増子氏は「倒産や失業などを要因とする自殺対策に都として全力で取り組むべきだ」と知事の見解を質した。小池知事は「6月からSNS自殺相談と、深夜と早朝の時間帯等における電話相談の回線や相談員を増強し支援策を案内している」と答えた。

 山﨑氏は「感染が再拡大し、再び休業要請となった場合、法令に裏打ちされた十分な補償を行うべきだ」として、特措法の改正について質した。小池知事は「私自身、西村担当大臣と幾度も面会し、特措法の改正に向けた要望を直接訴えるとともに、都議会各会派や全国知事会を通じた要望も行ってきた。今後とも軌を一にする都議会各会派の皆様と緊密に連携していく」と、積極的な姿勢を表明した。

 中嶋氏は、PCR検査の実施にあたり、高齢者や障害者の各施設を支援すると同時に、陽性者が発生した場合の対策を講ずることを求めた。小池知事は「高齢者や障害者等が広域的に利用して感染者が発生した場合に影響が多い入所施設を対象に、新規入所者や職員への定期的な検査など、感染予防のための経費の支援を新たに開始する」と応じた。

 大山氏は「感染拡大防止と社会経済活動を両立させる鍵はPCR検査の抜本的拡大だ」として、実際の検査件数を1日数万件に増やすことを求めた。小池知事は「都は区市町村が地域の実情に応じた検査を行えるよう支援する。国は検査体制の拡充に向けた指針を示しており、今後、これを踏まえ検査体制の強化を図る」と答弁した。

〈行財政改革〉

 宮瀬氏は「都は公金支出情報をウエブ公開しているが肝心の支払い先名が公開されていない」と指摘、調整がついたものから順次公開すべきと迫った。佐藤会計管理局長は「今後、支払い先に関し公開可能な情報の範囲について引き続き検討を進める」と答弁した。

〈財政運営〉

 新型コロナウイルス感染症により各企業の業績が大きく落ち込み、税収減が都財政に与える影響が懸念される。

 山﨑氏は都側の見解を質した。潮田財務局長は来年度予算の見積方針において、「経常的、定型的な経費に対してマイナスシーリングを導入する」と答弁、予算要求段階から経費の抑制を図るとした。

 大山氏は「外環道の総事業費は当初の約2倍にも膨らんだ」と批判、「都財政も都民生活も厳しい中、事業費がさらに増えることはないと言えるのか」と迫った。中島建設局長は「都は引き続き、国に対し外環の早期整備に向け、安全に十分配慮しつつ、コスト縮減を図りながら効率的に事業を実施することなどを求めていく」と答弁するに留まった。

〈行政のデジタル化〉

 増子氏は、都が各自治体のデジタル化の支援も積極的に行うべきだと主張、小池知事は定例会に提案した東京デジタルファースト条例を契機に、区市町村を含めた行政全体のデジタル化を底上げすることを表明した。

 中嶋氏は、都営住宅の募集で申し込みや抽せん結果の通知をオンラインでも実施できるようにすべきと提案。榎本住宅政策本部長は、「既存システムの安全性等を確保しながら、これと相互にデータ連携させる募集オンライン申請システムの構築に向け速やかに取り組む」と前向きな姿勢を見せた。

〈公文書管理〉

 宮瀬氏は厚労省のクラスター対策班の専門家から示された感染予測文書2通が公表されず破棄されたことを取り上げ、「重要な意思形成過程が失われぬよう、文書管理のチェック体制を改めるべきだ」と迫った。山手総務局長は「今後、新型コロナウイルス感染症対策に係る文書を多く取り扱う部署に個別にヒアリングを行うなど、適切に指導助言を行う」と答弁した。

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