スポーツクラブ×リハビリという新たな形で末長く健康を維持できる環境をつくる
株式会社東京アスレティッククラブ

  • 編集責任者:種藤 潤

 高齢化社会が進行する日本において、介護を含む健康維持の形は年々変化している。そんななか、中野区を中心に地域の健康を支えてきた老舗スポーツクラブが、新たな事業をスタートした。長年にわたり培ってきたスポーツクラブの経験とノウハウを生かし、既存の枠組みでは対応できない健康維持をサポートする、同社の取り組みに迫る。

TACリハビリセンターのロゴマークとTACの創業の地である中野本店

保険適用内では対応できない運動特化型リハビリを創設

 1970年創業、日本初の会員制総合スポーツクラブとして知られる「東京アスレティッククラブ(TAC)」は、その後も会員による同好会や委員会などのコミュニティ、タックチャイルドクラブ(スポーツ幼稚園)、マタニティ&ベビースイミングの創設など、新たなサービスを積極的に取り入れ、50年を経た今も、創業の地である中野区を中心に、地域の人たちがスポーツを通して健康的な生活を送るためのサポートを行っている。そのTACが2018年、最新のサービスとして「TACリハビリセンター」をスタートした。

 最大の特徴は、スポーツクラブの経験と実績を生かした、「運動特化型」リハビリであることだ。従来のリハビリと同様、脳梗塞や交通事故などによる身体麻痺などの後遺症から、関節痛などの身体障害まで、あらゆる身体機能の改善を目指すが、TACでは、理学療法士を中心に作業療法士、スポーツトレーナー、スポーツインストラクター、健康運動指導士が連携し、スポーツクラブが運営する施設ならではの、運動指導も加えた個々の症状に合ったリハビリプログラムを組み立て、目標達成に向けて徹底的にサポートしている。保険適用外のサービスにはなるが、保険ではカバーできない内容を取り入れることができ、また十分時間をかけることも可能だ。

 入会前にカウンセリングを行い、改善の目標を設定。その目標を関係スタッフと共有した上で、リハビリのプログラムを作成し、スタートする。1回60分を週2回、2か月間で14回実施する「通常コース」を基本に、プールなどのオプションプランも選択しながら、最短2か月での機能回復を目指していく。

同センターを担当する、株式会社東京アスレティッククラブ 企画開発本部 事業企画課の永井均(ひとし)課長(右)と、東日本営業本部 青木大尚(ひろひさ)さん

スポーツクラブだから見えてきた「自費リハビリ」の新たなニーズ

 こうした保険適用外のリハビリサービスは、一般的に「自費リハビリ」と呼ばれる。主に医療機関や介護施設が、保険内で対応しきれないリハビリを行うために設置している。実は、TACはグループ内で介護施設を運営しており、介護保険を使用した運動特化型デイサービスを行っているが、保険適用外でも継続してリハビリをしたいという声が多く寄せられたため、今回の自費リハビリサービスを開始した。

 「保険適用内のリハビリは、低価格に利用できる、社会保障上非常に優れた制度です。しかし、その内容や時間は制限されており、障害や後遺症の状態によっては、もっとリハビリを受けたいと思っても受けられないことがあります。保険外の費用がかかっても、回復に近づけるため、可能なかぎりリハビリをしたい。こうしたニーズに対応することが、自費リハビリサービスを開始した大きな理由の一つです」(企画開発本部 事業企画課の永井均課長)

 一方で、こうした自費リハビリの形は、長年通い続けるスポーツクラブの利用者のニーズも満たすことがわかってきたという。

同クラブはJR中野駅前の中野サンプラザ地下1階「TACサンプラザ スポーツスペース」内にある。理学療法士でもある青木さんを中心にスポーツクラブと連携、個々に合った独自プログラムによる施術を行う

 「おかげさまで、TACには今でも50年前の創業時から通われているお客様がいます。しかしその分、お客様の高齢化が進んでいるのも事実です。そういう方々のなかには、身体機能を向上させるよりも、加齢や怪我で衰えた機能を回復させながら、体を動かして健康を維持したいという、長年スポーツをしてきた人ならではのニーズが見えてきました。前出のような保険外のリハビリを求める方々も含め、新たな選択肢として、スポーツクラブだからこそできる自費リハビリの形を提示したいと思います」(永井課長)

 その結果、同センターには現在20代から80代まで、交通事故の後遺症から脳梗塞、骨折まで、機能回復を目指す多様な利用者が集まり、日々リハビリに励んでいるという。そしてそのなかには、TACの会員も含まれている。

クラブ利用者のためのコンシェルジュ的な働きを

 同センターを担当する理学療法士の青木大尚さんは、TAC会員以外の利用者拡大にも力を入れたいが、当面はTAC利用者にとっての気軽な「コンシェルジュ的な働き」をしていきたいという。

 「より良いリハビリをするためには、その方の情報をできるだけ詳しく収集し、信頼関係を構築することが求められます。TAC利用者であれば、それらが全て揃った状態で、リハビリをスタートすることができます。一方で、利用者にとっても、通い慣れた施設のなかにリハビリの窓口があれば、いざという時に抵抗なくリハビリ相談ができるはずです。年を重ね、従来のスポーツができなくなってからも、リハビリもあわせた形で運動を継続することもできるようになる。それが理想であり、そういうお客様を増やしていきたいです」

 ご存知の通り、新型コロナウイルスの影響でスポーツクラブは一時閉鎖。TACも例外ではなかった。今は対策を講じながら再開し、利用者はコロナ前の8割まで持ち直したという。青木さんは、戻ってきたTAC利用者の満足度向上とともに、より多くの方に同センターの存在を知ってもらいたいと意欲を見せる。

 ちなみに、コロナ後の運動不足解消のための入会ニーズはあるかと尋ねると、今のところ反応はないという。ただ、「自粛要請から約半年が経ち、そろそろ運動不足の影響が出始める頃。ストレッチ等身体を動かしたほうがいいですが、いきなり負荷の大きい運動は避けたほうがいい」とアドバイスをしてくれた。より詳しく知りたければ、ぜひ同センターを訪ねていただきたい。

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