戦略政策情報推進本部長 寺﨑 久明氏
東京都の各局が行っている事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は戦略政策情報推進本部長の寺﨑久明氏。感染症対策として密集を避ける勢いが加速した、社会のデジタル化の取組、小池知事が意欲を見せる「スマート東京」や、世界の中で東京のステータスを高める国際金融都市・東京の実現に向けた意気込み等について伺った。
都の施策を技術面で支援
ICTを活用し仕事を変える
—戦略政策情報推進本部長となられましたがこの本部の特徴は。
この本部は、昨年度新設されましたが、実務経験豊富なICT人材を積極的に採用するなど、この1年間で体制の強化が図られてきました。
こうした職員の英知を結集して、ルールにとらわれない柔軟な発想、斬新なアイデアで新しいことにチャレンジしていきたいと思います。
私は昨年度、政策企画局の成長戦略担当理事を務めました。戦略政策情報推進本部との兼務でしたので、事業全体の大枠は理解しています。
小池知事が進める3つのシティに向けた取組に「スマート東京」という横串を刺し、東京のデジタルトランスフォーメーションを加速することと、各局が進める施策を技術面から支えることがこの組織の大きな役割と考えています。
—ICTを専管するのは元ヤフー会長の宮坂副知事です。
宮坂副知事は、経営者として民間のグローバルなデジタル競争の中に長年身を置いてこられた方で、我々も日々刺激を受けています。
副知事の最先端技術で都民を幸せにしたいという思いをしっかり共有し、取組を加速させたいと思っています。
—感染症の拡大によって、社会のデジタル化の必要性が増しています。
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、非接触や非対面型の取組が進んでいます。それにより、仕事や学習、暮らしのあり方も激変しています。
コロナ収束後を見据えると、ICTを活用した都民生活のQOL(クオリティオブライフ)の向上や経済活動の効率化など更に積極的に取り組んでいかなくてはならないと考えています。
例えばWeb会議についても、社会全体では、これまで必ずしも幅広く導入されているとは言えませんでしたが、今回のことを契機に大きく導入が進んでいます。
これからはデジタル環境を活用していくことがこれまで以上に重要になってきます。それに合わせて、仕事の仕方や働き方を大きく変えていくことが必要になるでしょう。
スマート東京の実現を目指す
—「スマート東京実施戦略」がまとまりました。特徴は何でしょう。
今回の実施戦略では、今年度を「スマート東京元年」と位置付け、実現に向けた取組を加速することとしました。具体的な取組方針として3つの柱『「電波の道」で「つながる東京」』『データプラットフォームの構築』『都庁のデジタルシフト』を掲げ施策を展開することとしています。
中でもオープンデータの活用は、昨年、官民連携のデータプラットフォームを作るための基本的な考えをとりまとめ、今年度は、その具体化に向けた取組を進めることとしています。
—国際金融都市・東京の実現も本部に課せられた課題ですね。
昨年度の国際金融都市のランキングでは、東京は世界3位に入りました。アジアでは1位になり、追われる立場になりました。
今後も世界中から投資を呼び込むための魅力的なビジネス環境を充実させるなど、しっかり取り組んでいきたいと思います。
—先端技術や先端事業などを手掛けていることも本部の大きな特徴ではないでしょうか。
例えば「King Salmon Project」では、世界を席巻するスタートアップ企業の輩出サイクルを確立し、イノベーションによる東京の成長と社会課題の解決を目指して、昨年度より取組を進めています。
今年度は、スタートアップ企業が持つプロダクトやサービスを都政の現場で実証実験をし、それを通じて社会課題の解決やプロダクト等の普及拡大を図ることを目指しています。
また、「先端テクノロジーショーケーシング」は、都政の課題解決に資する先端技術ロボットを公募、選定し、今後実装が見込まれる都内のフィールドで実証実験を行うものです。
これらの事業は、コロナ収束後を見据えた未来の東京のためにも、工夫をしながらしっかり取組を進めていきたいと思います。
—戦略政策情報推進本部が取り組んでいる業務には「スピード感」が求められるかと。
デジタル技術は日進月歩で進化し、一方で新型コロナを契機に「ニューノーマル」と言われるとおり、日常が大きく変わろうとしています。
そうした中、今後は様々な取組を機を逸することなく、いかに迅速に実行していくかが重要だと感じています。組織の強みを活かし、常にスピード感を持って取組を進められればと思っています。