「『未来の東京』戦略ビジョン」を策定

  • 記事:大竹 良治

  昨年末に策定された「『未来の東京』戦略ビジョン」は、150日後に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会のその後を見据え、東京の将来像を示した小池知事にとって初の総合的な「戦略ビジョン」だ。7月5日に投票が行われる知事選への出馬が確実視されている小池知事にとって、2期目に向けた選挙公約とも言える。東京都はこの「戦略ビジョン」をもとに、今後、より具体的な長期戦略を策定していく予定だ。

2期目に向け「小池色」色濃く

 「戦略ビジョン」では、経済、テクノロジー、気候変動、少子高齢化、都市間競争など、現在置かれている状況に正面から向き合い、東京の強みを伸ばし、弱みを克服することが重要と指摘した上で4つの基本戦略を掲げた。

基本戦略1の「バックキャストの視点での将来展望」は、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える四半世紀先の2040年代を念頭に目指すべき未来を想定、そこから逆算して、現在すべき道筋を考えるというもので、これまでの行政の前例踏襲主義とも言える「フォーキャスト」の視点を転換するもの。

 また、基本戦略4の「時代や状況の変化に弾力的に対応する『アジャイル』」にある「アジャイル」は、小池知事独特の言い回しで「より良いものに常に改善を重ねていくということで、変えるべきものは変えていくという姿勢」と説明、これも前例踏襲からの脱却を強調したと言える。

 基本戦略2では民間など多様な主体との協働を、基本戦略3ではデジタル技術の積極的な活用をうたっており、いずれも小池知事が都政改革の一環として取組んでいる路線を支える内容となっている。

20の「ビジョン」と「戦略」を提示

 こうした基本戦略のもと、目指す2040年代の東京の姿として20の「ビジョン」を提示した。

 まず、ビジョン1に掲げたのは子供「Children」。ここでは、子供を産み育てる社会の実現を目指すとともに、出生率2・07という高い目標を設定、現在の人口を維持する決意を示した形だ。

 またビジョン4の「長寿(Choju)」では、長寿平均寿命や健康寿命ともに90歳を超えるというビジョンのもと、これを世界共通語としていくとして、そのロゴマークも発表されたところだ。

 このほか、多様性に富んだ東京、災害の脅威から都民を守る東京、世界中からヒト・モノ・カネ・情報が集まる世界一オープンな東京、ゼロエミッション東京などが戦略として盛り込まれた。

 そして、今後10年間で取り組むべき政策の基本として「2030年に向けた20の戦略」を提示している。とくに政策面からの視点として3つのC(Community、Children、Choju)を、戦略の核に据えている。

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