自然災害・想定が甘くないか

  • 記事:平田 邦彦

地球温暖化を憂う前に

 韓国には火山の爆発も無いし、台風は日本列島が防波堤になるせいか来ても大きな被害は少ない。地震もめったに起きないと、拓殖大学教授の呉善花先生に教わった。

 16歳の少女に指摘されるまでもなく、明らかに地球温暖化は進行して、その為か自然災害の規模も発生回数も増えてきている。

 日本はこの厳しい自然環境に耐え共生してきたから、それが互助の精神性を培い、豊かな社会を形創ることに貢献して来たのではないかと、先生は続けられた。

 確かに古来多くの自然災害に見舞われ、治山治水に傾注し、強靭な国土を作るべく努力もしてきた。しかし昨今の台風はその発生場所が従来よりも北に偏り、十分な勢力を保ったままに日本列島に到達するから、そのたびに未曾有とか百年に一度とかの活字が紙面に踊る。

 この度の台風19号の被害に遭われた皆様には心からお悔やみ申し上げたく思うし、不幸にして家族を失われた各位には哀悼の念をお伝えしたい。各地域の自治体、警察、消防、自衛隊のご活躍、そして互助精神を発揮するボランティアのご努力にも敬意を表したい。

 今回の台風については、かなり前広に強大な勢力を保ったまま上陸する可能性が伝えられてきたにも拘わらず、多くの人命が損なわれ、水害によって甚大な被害を出す結果となってしまった。

 地球温暖化を防ぐカーボンオフセットの声は日増しに大きくなり、それこそ地球規模での取り組みが叫ばれ進められもしていようが、それはそれとして、我が身を守る工夫は自分で考え、行動するしかない。

 建築基準法では窓ガラスは40mの風に耐える強度が規定されているが、昨今の台風は60mを超える風も珍しくない。TVではスリッパが窓を突き破る映像が報道された。

 同じく電柱は50mの風を基準値としていると聞くが、風に飛ばされ電線に引掛かったものが大きな力となって、軒並み電柱をなぎ倒し、千葉のブラックアウトを現出させた。

 都知事はかねてから無電柱化を推進してこられたが、更なる積極的な取り組みが求められていると、今回の災害が教えてくれているのではないだろうか。

 福祉の充実を声高に主張する政党もあるが、生きていてこその福祉であって、死の危険をないがしろにしての福祉はあり得ない。

 想定以上の想定が求められていることに目を向けて、抜本的な災害対策を見直す良い機会が与えられたと考えようではないか。

 堤防決壊によって脆くも流されてゆく映像は、明日は我が身と思えてならない。

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