第3回定例会閉会
都議会第3回定例会は18日、最終本会議を開き、知事提出の全46議案を賛成多数で可決し閉会した。定例会初日の3日、小池知事は所信表明で、東京が世界から注目を集め、選ばれる都市として成長するため、「Society 5.0」の実現を強く進める姿勢を打ち出した。議案では「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」は、自転車所有者に損害賠償保険等の加入を義務化する内容に一部改正された。代表質問では五輪の暑さ対策や都が策定を進める「長期戦略ビジョン」などを巡り論戦が交わされた。
長期戦略ビジョン他で論戦
9日に行われた代表質問には、増子ひろき氏(都民ファ)、鈴木章浩氏(自民)、のがみ純子氏(公明)、とや英津子氏(共産)、西沢けいた氏(民主)の5氏が登壇した。
【長期戦略ビジョン】
小池百合子知事が年末までの策定に意欲を見せる長期計画。先日、論点がまとめられた。
増子氏は「大局的な観点に立って東京、そして日本全体の改革につながる長期戦略を策定すべき」と知事の見解を質した。
小池知事は、「Society 5.0を実現し、国際的な都市間競争を勝ち抜くという視点から、関係法令の抜本的な改正や規制緩和に加え、他の地域との連携などにも積極的に取り組む」と意欲を見せた。
のがみ氏は「長期戦略ビジョンの着実な実行には、都庁の執行体制の改革や強靭な財政基盤を都民に明らかにした上で推進すべきだ」と提案、小池知事は「住宅政策や交通ネットワークの強化を含めた必要な政策を吟味して、都民生活を支える骨太な政策を練り上げる。こうした政策を実現するために都庁の柔軟な組織体制の構築と強固な財政基盤の確保に向けた検討も進める」と応じた。
【五輪の暑さ対策】
去年、今年の猛暑を受け、来年夏の五輪大会での暑さ対策が急務となった。
増子氏が競技会場周辺における日陰をつくり出すための取り組みを質すと、小池知事は観客向けの対策として、テントによる休憩所や待ち行列が発生する場所での日よけの設置を可能な限り行うとした。
【住宅確保要配慮者】
住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯が定められている。都は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の登録制度を運用しているが、2025年度までの登録数3万戸の目標に対し781戸にとどまっている。
鈴木氏は都に「大胆な取り組みが必要だ」と迫った。榎本雅人住宅政策本部長は「都では今年度から、見守りサービスを支援するモデル事業や、入居者の死亡時に貸し主に生じる損失を補償する保険料への補助等を実施している。こうした施策を着実に推進する他、貸し主の不安軽減に向けた支援のあり方や登録につながる方策について検討する」と答弁した。
【IR誘致】
東京都はIRの招致に向け調査費を今年度予算に計上しているが、小池知事は現時点で態度を明快にしていない。
とや氏は「日本共産党都議団の情報公開請求で開示された資料から、都が臨海副都心の青海地区北側に、カジノを含むIR導入を詳細に検討していることが明らかになった」として、「貧困と格差を広げるカジノ誘致はすべきではない」と迫った。
小池知事は「IRについてはメリット、デメリットの両面があり総合的に検討する」と述べるに留まった。
【高齢者施策】
西沢氏は、高齢者施策を全庁横断的に取り組む合同会議の設置を提案。
小池知事は高齢者施策について責任を持ち全庁横断的に取り組むべきと訴えた。また、「今後とも地域で支え合いながら、安心して暮らし続けられる東京の実現に向け、大都市東京の特性を踏まえた高齢者施策を展開する」と述べるに留まった。