建設局長 三浦 隆氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は建設局長の三浦隆氏。道路や河川の整備を担う建設局は首都東京の安全・安心、発展には欠かせない。道路整備の意義や水害対策、無電柱化の推進についてお話を伺った。

次世代に向け整備にまい進

道路ネットワークを結び機能強化

—建設局長となられての感想は。

 私が都庁で最初に配属されたのは、多摩ニュータウンを整備する、南多摩新都市開発本部でした。多摩ニュータウンの造成工事などを担当し、平成元年に建設局に異動しました。それ以来、主に道路の分野で、建設局の事業に携わってきました。首都東京の基盤整備を担う立場になり、身の引き締まる思いです。

—東京の都市計画道路の整備率は約7割程度とまだまだです。

 「東京には、道路はもういらないのでは」という声もありますが、道路は、ネットワークとしてつながっていないと、その交通機能を十分に発揮することができません。東京の場合、道路の整備は順次行われてきましたが、道路と道路がしっかりとつながっていない箇所がまだ多く残されています。

 今年6月8日に、放射第5号線と三鷹3・2・2号線が開通しました。区部と多摩地域を東西方向に結ぶ重要な道路です。放射第5号線は半蔵門を起点とし、新宿通りや甲州街道を経て、杉並区高井戸の環状8号線の付近から2車線となり、玉川上水と並行する区間は未整備でした。

 三鷹3・2・2号線、これは東八道路と言われており、これまで多摩地域で整備されてきましたが、放射第5号線とつながる区間は未整備でした。このため、南側の細い区道を通るしかなく、区部と多摩地域の境が上手くつながっていませんでした。

放射第5号線と三鷹3・2・2号線の開通式典(中央に小池知事)

 今回、開通したのは、杉並区下高井戸5丁目〜三鷹市牟礼2丁目の約3・6キロメートルの区間であり、4車線で整備されました。東京の東西方向の大動脈が形成されることになり、並行する甲州街道の交通渋滞の緩和や、周辺地域の生活道路へ流入する通過交通の減少など、安全性、利便性の向上が期待されます。なお、未整備であった放射5号線久我山区間と三鷹3・2・2号線区間は、早い段階から、より環境に配慮するため『総合環境アセスメント制度』の試行対象箇所として選定され、基本計画の立案段階から比較検討を行い、整備を進めてきました。

—今年も豪雨が日本各地で発生していますが都の水害対策は。

 神田川・環状7号線地下調節池は、環状7号線の地下に整備されましたが、都心を水害から守るために威力を発揮しています。神田川や善福寺川、妙正寺川の洪水、およそ54万m³が貯留可能です。

 平成16年10月の台風22号は、神田川中流域に多大な浸水被害をもたらした平成5年の台風11号と、ほぼ同じ規模の降雨がありました。しかしこの調節池と激特事業による護岸整備により、台風22号の浸水被害は激減しています。

 この調節池は現在、延伸する事業を進めています。河道を拡幅するなどの整備とともに、雨水を一時的に貯める場所を増やすことにより、近年頻発する集中豪雨への備えを進めているところです。

主要駅周辺等で無電柱化を推進

—無電柱化の推進は小池知事の政策のひとつですが現状は。

 東京には多くの電柱が立ち並び、電線が張り巡らされています。

 これは、都市景観を損ねるだけでなく、歩行者や車いすの通行の妨げになるばかりか、災害時に電柱が倒れ、道路が塞がる恐れがあります。さらに、首都直下地震が発生した場合にも、甚大な被害が想定されることから、無電柱化の重要性が一層高まっています。

 こうしたことから、都では「東京都無電柱化推進計画」に基づき事業を進めています。

 2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までに、センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、震災対策上、重要な位置付けになっている緊急輸送道路や利用者の多い主要駅周辺などで、重点的に整備を進めています。

 区市町村道の無電柱化についても、区市町村に対する財政・技術支援を行い、整備を促進するとともに、関係事業者と連携しながら、低コスト化などの検討を進め、都内全域の無電柱化の推進を図っていきます。

—最後に局長としての思いがあれば。

 建設局は、インフラの整備や維持管理が主な業務です。道路にしても、河川や公園にしても、整備をすればきっと都民の皆さんに喜ばれると思います。そして、出来上がった基盤施設は、多くの方々に利用していただくことで、長い間ストック効果を発揮することでしょう。

 少しでも東京というまちがよくなるよう、先輩方からバトンを受け継いだ立場として、次の世代に向けて、着実に事業を進めてまいります。

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