都議会 築地跡地問題で紛糾
有償所管換え補正予算を可決
異例の記名投票で自・共などが反対
都議会第1回定例会は6日、本会議を開き、築地市場跡地を市場会計から一般会計へ有償所管換えする経費約5400億円を盛り込んだ30年度一般会計補正予算案を賛成多数で可決した。
今定例会は小池知事の経済・港湾委への招致をめぐり議会運営委員会が紛糾、初日の開会が深夜にずれ込む異例のスタートとなった。その後も代表質問、経済・港湾委、予算特別委員会で自民、共産らが知事を厳しく追及、大荒れの展開となっている。
そもそもの発端は、築地市場の跡地開発について、小池知事が一昨年の都議選直前に「築地は守る、豊洲は活かす」として「食のテーマパーク」構想を表明、築地に市場機能を残す方針を示したこと。ところが、さる1月に発表された「築地まちづくり方針(素案)」では、国際展示場などを中心とした開発に転換、市場機能は設けないことが明らかになった。
自民、共産ら6会派は「方針転換」は明白だとして知事を厳しく追及、公約違反を認め、謝罪するよう求めた。一方、小池知事は「築地が培ってきた食文化、築地ブランドを生かすというコンセプトは変わっておらず、基本方針は、まったく変わっていない」と取り合わず、議論はかみ合わなかった。
採決は異例の記名投票で行われ、尾崎議長を除く125名が投票、都民ファ(49)、公明(23)、みらい(3)の75名が賛成、自民(23)、共産(18)、立憲・民主(5)、維新(2)、自由(1)、ネット(1)の50名が反対した。
反対討論で、自民の清水孝治氏は「知事は『方針は変わっていない』の一点張りで説明責任を果たしたとは言えない」、共産の尾崎あや子氏は「知事の公約である『築地は守る』『市場機能を残す』との基本方針は、今年1月に発表された『築地まちづくり方針(素案)』では、まったく触れられておらず、基本方針からの転換、公約違反は誰の目にも明らか」と批判した。また、立憲・民主の西沢けいた氏は「誤解を与えるとさえ思われる知事の発言・説明にこそ原因があったと考える。小池知事から、謝罪、陳謝に関して何ら言及がなかったことは残念でならない」と述べた。
一方、賛成に回った都民ファの山田ひろし氏は「これまでの質疑を通じて、基本方針にこめられた知事の考えは一貫して、食に根ざした歴史や文化など、築地が培ってきた大切なものを守り、さらに発展させていく、まさしく築地を『活かす』ことであることが明らかになった」と知事の姿勢を評価、公明のけいの信一氏は「補正予算を会期末で議決する補正予算とした場合、成立後の日程に余裕がなく、補正予算の執行が年度内に完了しない恐れも出てくる。中途議決とした都の判断は妥当と考える」と述べた。
補正予算の成立を受け、小池知事は「有償所管換えによって、次は一般会計として、パブコメでいただいたご意見や、今回の審議を反映させて、まちづくり案を年度内にまとめたい」と述べるとともに、豊洲再開発については「バラバラではなく、コンセプトを持って、地域のポテンシャルを活かすということであり、まさしく基本方針そのものだ」と改めて基本方針が変わっていないことを強調した。