政策企画局長 梶原 洋氏
東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は政策企画局長の梶原洋氏。都政の官房役として長期計画の策定を行う他、各局との連携調整、「国際金融都市・東京」の実現に向けた取組などを推進する決意を伺った。
各局を束ねる「音頭役」に
状況に応じた施策の見直しを
—政策企画局の重要な役割のひとつが計画策定ですが、一昨年に実行プランを策定してから2年が経過します。局長自身、知事本局時代は計画策定に携わっていますが、今後、どのように展開するのでしょうか。
計画は政策と知恵の結集です。現在の計画は、「2020年に向けた実行プラン」ですが、計画は策定したら終わりではありません。計画に基づいて着実に施策を進めつつ、新しい状況に対しては施策の見直し・強化を図っていくことが重要です。
このためにPDCAサイクルを回していくことになりますが、このうちのC(チェック)については、先月、2017年度末の進捗状況についてレビューを行い、実行プラン1年目の実績を明らかにしました。今後これを踏まえて、A(アクション)、つまり、施策の見直し・強化を図ります。
その方向性を示したものが重点政策方針で、今年度は「ともに創る、ともに育む」と銘打っています。「人」と「人」がつながることで生まれる相乗効果に着目し、東京のさらなる活力を生み出していくという考えです。
この視点をそれぞれの施策展開に組み込んでいくことはもちろんですが、都民意見の反映、あるいは、今年度新たに立ち上げた大学との定例懇談会での議論なども踏まえ、「ともに創る、ともに育む」を実践していきたいと思っています。
—都庁でも局ごとの縦割りがあり、施策がなかなか進まないことがある、といった話も耳にします。
各局はそれぞれの行政分野を所管し、日々、汗を流しています。地方行政は住民に近い位置で仕事をするので、時には極めてシビアな場面もあります。そうした中で各局が培ってきた伝統や専門性、知恵、力というものは相当なものです。まずは、これを次の世代に残すために、人材育成などにしっかりと取り組まなければなりません。
一方で、仕事は日々、複雑・多様化しています。それぞれの局が抱える課題も局単体では片付かず、他局の仕事と何かしら関わってくることが多いのです。組織間の連携、局間の連携は、益々重要になってきていると実感しています。
政策企画局は総合調整機能を担っています。新たな課題に対して、関係局の連携を機動的に図り、都庁総体として最大限の力を発揮できるようにまとめていかなければなりません。都庁全体のパフォーマンスをいかに高められるかが、常に問われています。
事業局が困った時、誰かに先頭に立ってほしい時、音頭を取れる政策企画局でありたいと思っています。事業局からの政策を束ね、事業局のために知恵を絞ることができる、頼もしい局にしたいですね。
成長分野の企業を支援
—一方で政策企画局では、金融や先端事業など、具体的な事業も増えてきているように思います。
金融、先端事業といった部門も、各局事業と綿密な連携の下で推進していくという意味では同じだと思います。
この分野では、成長が期待できる民間企業の取組を後押しすると同時に、都民生活の向上に寄与することを目指しています。
例えば、今年度から実施する「東京金融賞」では、都民のニーズや関心を踏まえたテーマを設定し、金融事業者を募集しています。先端事業の分野でも、自動運転の実証実験を、高齢者の増加といった具体的な社会課題と結び付けて実施します。
また、政策企画局では、他にも国家戦略特区制度を所管していますが、これも、規制緩和の仕組みを効果的に動かしていくためには、都がどういった課題を抱えているか、それに対してどういった事業を進めたいか、ということを的確に把握する必要があります。まさに各局との連携が鍵を握っています。
このように当局の事業については、幅広い観点から工夫して、施策をブラッシュアップすることが可能です。都民生活を軸に施策を展開すれば、必然的に、各局の事業や課題とも繋がってきます。都庁の各局のエンジンを束ねることで、ターボエンジンにしていくのが政策企画局の役割です。
—ライフ・ワーク・バランスに対する考えと、ご自身の実践を教えてください。
人生には余裕と潤いが必要だと思います。趣味やスポーツ、家族との生活などのために時間が十分取れるように、早く帰り、休暇も取れる職場環境をつくっていかなければいけないと思っています。
ライフの充実がワークの充実を促し、ワークの充実がライフの充実に繋がる。理想論のように聞こえるかもしれませんが、こうした好循環を構築するために、真剣に考えるべき時に来ています。
仕事の質を落とさず、むしろ高めながら、一方で、仕事にかける時間を減らす。これからの都庁組織のためにも、皆が知恵を絞らなければならないでしょうね。
私について言えば、今は保育園に通う息子の子育て真っ最中です。寝かしつけのために、絵本の読み聞かせをするのが日課になっていますが、いつもこちらが先に寝てしまいそうになります。ライフも、ワークも、どちらもなかなかにハードですね。(笑)