段ボールで補強した厚紙に下絵を書き、クレヨンで仕上げた足立区のジャンボかるた
小さな子どもから大人まで、手軽に楽しく「知る」方法として、かるたの活用が注目されている。
今までにも、都内の多くの地域で郷土かるたを作成し、郷土館で一般発売しているところもある。墨田区のすみだ郷土文化資料館で発売している「すみだ郷土かるた」では、「消さないで 職人かたぎの 粋な町」「忠臣蔵 舞台はここだ 吉良屋敷」など、わが町を愛するようすが、わかりやすい絵札とリズミカルな読み札で表されている。
今、見直されている食育の分野でも、かるたの活躍がさかんだ。世田谷区子ども部保育課では、遊びを通して親子で「食」に関心がもてるようにと、一般公募で読み句を募集。絵札はプロのイラストレーターに頼み、昨年10月に区政情報センターにて発売を開始したが、完売。現在増刷中だという。
今年になって話題となったのは、足立区の区立保育園栄養士たちがグループ製作した食育かるた。公立保育園の保育士らが中心になり毎年開かれる「ふれあいキッズフェスティバル」の目玉企画にしようということで、昨年から準備がはじめられ、「大きな会場でかるたをするには…」ということで、横15センチ×縦21センチのジャンボかるたをつくることにした。フェスティバルは1月20日に区役所庁舎ホール等で行われ、大勢の親子がジャンボかるたの他、様々なイベントを楽しんだ。
「さんま・さば 秋が一番 美味しい季節」と、旬の食材の美味しさを説くかるたがあったり、「いただきます 感謝のきもちを 忘れずに」「歯みがきは 食事の後に しっかりと」と、しつけのかるたも入っている。ほかの読み句はまったく違うのに、世田谷区と足立区の「あ」のかるたの読み句が似ているのもおもしろい。「朝ごはん しっかり食べて 元気な子」(世田谷)「朝ごはん しっかり食べて 元気な一日」(足立)…やはり、朝ごはんを食べない子が増えているのだろうか。「家族で 食べる 楽しい食事」(足立)というのも、孤食や個食が取り沙汰されている現代には大切にしたい習慣だ。
(取材/粕谷亮美)