環境関連事業のユーシステムズ(株)(東京都千代田区・浦澤宏社長)では病院や介護施設向けに、使用済み紙おむつを「水の力で燃やす」専用の小型処理機を開発した。
『クリーン・オーゼロ』と名付けられたこの製品は、加熱水蒸気を400℃〜600℃の間でコントロールして処理するもので、含水量の多い紙おむつをいわば蒸し焼きにするシステム。ダイオキシンなどの有害物質を発生させることなく処理できる、画期的な製品として注目を集めている。
既に一部の病院でテスト使用されているが、素人でも簡単に扱える点が魅力。100kgの紙おむつ(約300枚)を24時間で2〜3kgの灰にしてしまうその能力は、早くも高い評価を得ている。
本体寸法は幅1.6m、奥行き1.5m、高さ1.9mとコンパクトなサイズで、室内に設置しても有害物質、高温、匂いを発生させることはなく、安心して使用することができる。
使用熱源は電気だが、深夜電力も併用する24時間運転によって、灯油等を使う従来の製品と比べ、格段のコストダウンを実現した。とくにこれから予測される石油製品の高騰を受けて、そのランニング・コストの安さはかなりの競争力を持つに違いない。
最近の紙おむつには高分子ポリマーが使用されており、病院などに設置されている一般の焼却炉ではダイオキシン対策から、焼却処分をすることができなかった。またダイオキシンの除去装置を持つものは、非常に高額であり、専門の資格を持つ職員を置かなければならないなどの問題があった。
この処理機の登場は、誰でも手軽に、処理できるものとして、関係者から歓迎されており、今後大いに普及することが期待されている。
処理対象は紙おむつとされているが、「混入したゴム手袋、注射器なども、問題なく処理できる」(浦澤社長談)し、発生する灰についても今後ゼオライト化して土壌改良などに再利用されることも予定されている。
加熱水蒸気とは
摂氏100℃以上に加熱した水蒸気のこと
・高温で活性が高い
・常温で温度は容易に800℃まで上昇する
・正確な温度管理がし易い
・低酸素雰囲気になる
・イオン性物資と容易に反応する
などの特徴を持つ。100℃の飽和水蒸気を作り、更に温度を上昇させると加熱水蒸気となる。ダイオキシンなどを分解し99%が除去できる。