幻の練馬大根の
たくわん漬けは最高

おいしいたくあん漬けになるのを待つ練馬大根

　東京の大根の代表として知られる「練馬大根」は、江戸時代元禄年間より栽培されはじめ、百万人を超える江戸の人口の需要に応えるべく、発展していった。

　練馬大根は繊維が多く、水分が少ないため、煮るのに時間がかかるが、煮崩れしにくく、ほのかな苦味と歯ごたえを楽しめるのが身上だ。また、たくわん漬けに最適で、江戸時代より漬物に多く利用されてきた。

　明治の中頃から東京の市街地が拡大するのに伴い、生産量もさらに増大したが、昭和になると、大干ばつやモザイク病の大発生で大きな打撃を受け、さらに戦後は食生活の変化などにより、急激に衰退。今では市場にほとんど出回らなくなった。

　練馬区では、地元特産の練馬大根を残そうと、平成元年より区の事業として区内の農家、ＪＡ東京あおばと協力し、練馬大根の栽培、加工、販売に力を入れている。

　特に練馬大根を使ったたくわんは、毎年期間限定で販売され、好評を博している。販売は、西武百貨店池袋本店の食品館地下にて開催される「ねりま漬物物産展」、ＪＡ東京あおば・ふれあいの里にて。１月中旬しか手に入らないレアものなので、遠方から来る人も多いとか。１本５２５円。

●販売時期など詳細は練馬区都市農業係
Tel ０３・３９９５・１１０８

徳川吉宗が喜んだ
小松菜入り澄まし汁

　もう一つ、冬が旬の東京の野菜に「小松菜」がある。小松菜は江戸時代に中国から日本に伝わった。

　享保４年、八代将軍吉宗が鷹狩りで旧西小松川村の香取神社に立ち寄った際、時の宮司が餅の澄まし汁に青菜を彩りにあしらって供すると、吉宗はたいそう喜び、その菜をこの地にちなんで“小松菜”と命名したといわれている。

　カルシウム含有量はほうれん草の約３・５倍で、野菜の中でダントツ。さらに骨粗しょう症の新薬で骨折予防が期待されているビタミンＫも多く含まれている。

　東京都の野菜の生産量をみると、小松菜はトップ。全国都道府県の中でも常に上位を占めており、東京を代表する野菜といえる。江戸川区、足立区、葛飾区をはじめ、東京各地の直売所などで、販売している。

　また、江戸川区内の商店では、小松菜を原料にした酒や菓子類、たこやき、うどん、パンなど、様々な加工品を販売している。こちらも試してみる価値がありそう。

　小松菜は、冬に収穫されることから冬菜、雪菜などとも呼ばれ、寒さに強く、霜がおりると甘みを増して味がよくなる。これからおいしくなる小松菜。日々の総菜に、正月の雑煮にと活躍しそうだ。

●小松菜の加工品
　http://www.ei-net.city.edogawa.tokyo.jp/hana_yasai/05_comat/index.html

美味しくヘルシー
東京生まれの肉

本来のしゃもの味が味わえる東京しゃも

　健康志向、グルメ志向に合わせて、東京の畜産業も頑張っている。

　東京の牛肉として有名なのは、青ヶ島の黒毛和牛。八丈島の南約６０km、人口約２００人の小さな島には、繁殖用和牛が多く飼育されている。島内のほとんどの家が１、２頭の雌牛を大切に育てており、仔牛は生後８カ月程度で都内の肉牛肥育農家に引き取られて、肥育後に市場に出回る。

　「TOKYO　X」のブランド名で平成９年から販売されているのは、東京都農林水産振興財団東京都農林総合研究センターで開発された豚肉だ。肉の味を良くするために７年間も品種改良を重ね、自信作としてできあがった。

　現在、都内外の農家を合わせて月産３００頭ほどが出荷されている。

　また、「ブロイラーではなく、おいしい鶏肉を食べたい」という声に応えて、同研究センターで開発したのが「東京しゃも」。しゃもは気性が粗く、群れで飼育することが不可能だったが、長年かけて育種、改良に成功。飼育は坪１０羽以内と、できるだけ自然に近く、のびのび運動できる環境を与えることで「本来のしゃもらしさ」を追求した。脂が少なく旨味があり、コリコリした食感を楽しめる。

　焼くのはもちろん、すき焼きのように濃いだしで煮炊きするのも美味しくいただける。これからの時期、鍋にはおススメの素材だ。

●TOKYO　X／http://www.tokyo-aff.or.jp/syutiku/01/03a.html

●東京しゃも／株式会社加賀屋
　Tel ０３・３５９１・１８３５、
　http://www.kagaya-toriniku.com/