車道はビュンビュン車が走っているから、自転車だけど歩道を走るしかない……。そんな経験をしたことのある人は多いはず。しかも、前を歩いている人を追い越すためチリンチリンとベルを鳴らしたこともあるのでは? 実はこの行為、ルール違反。歩道は歩行者が優先なので、ベルを鳴らして歩行者を追い抜いてはいけないのだ。歩道ではすぐに停止できる速度で走り、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止するのがルール。6月1日から施行された道路交通法の改正によって、自転車のルールはどのように変わったのだろうか。
(取材/粕谷亮美)
●自転車のルール、どれだけ知っている?
警察庁が警鐘している「自転車安全利用五則」をご存じだろうか?
(1)自転車は車道が原則、歩道は例外、(2)車道は左側を通行、(3)歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行、(4)安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)、(5)子どもはヘルメットを着用、の5つがそれ。
道路交通法上、自転車は軽車両。前記の利用五則に違反すると罰則がある場合もある。
例えば、酒に酔った状態で運転をした場合、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる。また、夜間無灯火の場合も、5万円以下の罰金。二人乗りや並進した場合は、2万円以下の罰金だ。
自転車は免許がなくても、誰でも乗ることができることから、自動車のように交通ルールの認識が甘いようだ。自転車を利用する人々のマナー低下が問題となっている現在、自転車の交通ルールを普及させていくことは必要不可欠だろう。
●改正された主な通行ルールとは?
平成19年6月20日に公布された「道路交通法の一部を改正する法律」(平成19年法律第90号)で、自転車に関する通行ルール等の規定が改正され、平成20年6月1日から施行されている。
変更点を紹介すると、まず「普通自転車の歩道通行に関する規定」。今までは「道路標識等により、歩道通行できることとされている場合」のみ歩道通行が可能だったが、改正後は、それにプラス、運転者が児童・幼児、70歳以上、身体障害者の場合は歩道通行が可能に。
また、車道または交通の状況からみて、やむを得ない場合も歩道通行できるようになった。これは、今の交通事情を勘案してのことだ。
もう一つは、「乗車用ヘルメットに関する規定」。児童・幼児(13歳未満の者)は、乗車用ヘルメットをかぶるように、保護者が責任をもたなくてはならない。これには罰則等はないが、大事な子どもを守るために親がなすべきことだ。
また、傘さし運転や運転中の携帯電話の使用等は、危険だからやめるように促している。
●交通安全教室
警視庁や東京都等では、「2008年自転車安全利用TOKYOキャンペーン」を5月1日〜6月30日まで行った。
小学生用と中学生以上用のイラスト入りでわかりやすいチラシをつくり、各学校等へ配布。自転車の通行ルールに関して、幅広い普及を目指した。
また警察庁からは「自転車安全利用チラシ」の一般向けと小学生用が作られている。小学生用はイラストを多用し、交通ルールが自然と身につくようなクイズ形式の楽しいチラシとなっている。
小・中学校や地域で自転車の交通安全教室を行いたいときは、最寄りの警察署の交通課に相談すれば、開催可能だ。
交通ルールをきちんと守り、自分の乗っている自転車を定期的に点検・整備して、安全運転で走行したい。