2008年11月20日号
<江戸の技と知恵の歳時記>
第11回 押絵羽子板

 羽根つきは室町時代から行われた遊びで、ムクロジの実に羽毛をさしたものが羽子(はご)で、現在の羽。羽子板については絵などを描いた絵羽子板も古くからあった。その一つが宮中の左義長(民間の行事ではどんど焼き)の行事を描いた左義長羽子板で、蒔絵をほどこした豪華なもの。また、江戸時代には邪気よけとして羽子板を贈る風習があり、今でも女児の初正月に羽子板を贈る習わしが残っている。

 文化・文政期(1804〜30年)には押絵を片面に貼りつけた押絵羽子板が江戸でつくられ、歌舞伎役者の肖像などを描いた豪華なものが人気を呼んだ。人気役者の舞台姿を髪型、隈取り、衣装や小道具まで正確に再現し、庶民たちは年末になるとひいきの役者の押絵羽子板を買って正月に備えたという。

 現在の押絵羽子板は、描かれた下絵に合わせて頭・顔・手・袖・帯などの各部分をボール紙で作り、綿を載せて布地でくるんでいく。裏面には「裏絵」といって松竹梅、その歳の干支、役者の家紋などが描かれることが多い。また押絵羽子板の人物を引き立たせるためにさまざまな色や柄の布地を使用する「向こう張り」という技術も施されている。

 毎年12月17〜19日には、浅草寺境内で羽子板市が開催される。江戸中期頃までは、正月用の歳の市といえば浅草に限られ、また納めの観音詣の日も重なり、たいそう賑わった江戸の年中行事であった。明治以降は、歳の市の面影は次第にすたれ、現在では江戸末期から流行し始めた羽子板市が盛況を続けている。

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写真協力/羽子板、鴻月

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