スターライト法務相談
司法書士 星野大記
<Q>
高校の同窓会を10年間、定期的に開催しているのですが、これからもずっと続けていきたいと考えています。最近、同窓会も法人格をもてるようになり、銀行の口座などもその法人で開設できるようになったと聞いたのですが、本当ですか。
<A>
中間法人(本年12月1日以降は、一般社団法人)を設立すれば、法人として活動することができます。
【解説】
中間法人制度
中間法人制度は、平成14年4月1日に施行された中間法人法を準拠法とし、「社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団」に法人格を付与する制度です。
「社員に共通する利益を図ることを目的とする社団」とは、一般的に人が集まって何かしようとすれば、当然これにあたるものと解されています。
「剰余金を社員に分配することを目的としない社団」とは、営利を目的としないということです。
つまり、非営利であれば、私益・共益・公益のいかなる目的をもっても中間法人としての法人格を享受できます。
また、中間法人は、その社員は最低2名以上必要であり、その種類としては、(1)有限責任中間法人、(2)無限責任中間法人の2種類があります。
(1)有限責任中間法人の場合は、基金制度があり、設立時の基金として最低300万円が必要になり、法人の社員は、法人の債務について対外的な責任を負うことはありません。
また、法人の運営等については、社員総会・理事・監事などの機関を設けて行います。
(2)無限責任中間法人の場合は、法人の社員が法人の債務を連帯して負うことになるため、基金制度はありません。また、法人の運営等については、原則として社員が行います。
中間法人の設立について
(1)有限責任中間法人の場合
設立までのスケジュールは次のとおりです。
定款の作成 ⇒ 公証人の認証 ⇒ 理事・監事の選任 ⇒ 基金の払込 ⇒ 設立調査 ⇒ 設立登記
また、定款で決めるべき最低限の事項は次のとおりです。
1.名称(法人名)
2.目的
3.基金の総額(300万円以上)
4.基金の拠出者の権利に関する規定
5.基金の返還の手続
6.公告の方法(一般的には、官報)
7.社員の氏名及び住所(2名以上)
8.主たる事務所の所在地
9.社員たる資格の得喪に関する規定
10.事業年度
(2)無限責任中間法人の場合
設立までのスケジュールは次のとおりです。
定款の作成 ⇒ 設立登記
また、定款で決めるべき最低限の事項は次のとおりです。
1.名称(法人名)
2.目的
3.社員の氏名及び住所(2名以上)
4.主たる事務所の所在地
【まとめ】
以上のとおり、同窓会、サークル、勉強会など継続して会費を集めながら活動する団体に法人格を付与する制度として、「中間法人制度」が利用されています。
ところで、本年12月1日に施行される「公益法人関連3法」の施行により、中間法人制度が廃止され、中間法人は一般社団法人へ移行されることになりました。
この移行手続きと一般社団法人制度の具体的な内容については、次号で、ご紹介したいと思います。